第33話 夏休みのご予定は?

夏休み。

そうか、終業式が終わったから明日からは夏休みか。

夏といえば

「夏祭り」と美咲が急に言い出した。

「夏祭りがどうした?」

「え、幸ちゃんが夏といえばって」

「それ、心の中なんだけど」

「えへへ、そうだった」

美咲が、舌を出して笑ってる、

てへぺろかぁ。可愛いな。

「いいや、まあ。夏といえば、じゃあ夏祭り。海」

「花火。プール。キャンプ」

「まあ、総じてレジャーだなぁ」

「よし、旅行行こうか。どっか遠く」

「新婚旅行?」

新婚旅行。確かに結婚したのに行ってない。

すぐ学校が始まったからなぁ。

今行くのはありだ。

でも、遠く過ぎるのもいけないかもしれないよなぁ。

「新婚旅行。たしかにありだな。

でも、海外はまあ無理だな」

「うん、きっとダメって言われるね」

「でも、旅行は行きたいかも。

幸ちゃんと温泉浸かりたい。もちろん、混浴」

最近の美咲は、だいぶオープンだ。

まあ、俺にだけだから許せる。

「もう、幸ちゃんにしか言わないよ」

「わかってるよ。俺にセクハラして楽しんでるだけだもんね」

「さすが幸ちゃん。でも、反応が少なくて困っちゃう」

「もう、だいぶ慣れたってことだよ」

美咲の誘惑は、激しい。GWあとから。

まあ、それでも愛しい人だから全てを受け入れてる。

誘惑されても・・・。

「幸ちゃん、厭らしい目してる」

「そんなことないぞ、可愛い美咲の事を考えてるだけだ」

「もう、幸ちゃんたら」

美咲は、頬を朱に染める。

うんうん、これでこそ美咲だ。

照れてる顔も可愛いな。


さて、俺たちはいますっかり夏の装いになったお揃いの半袖のTシャツにハーフパンツを部屋着にしてる。

まあ、そんな恰好でリビングの背もたれが緩やかなソファーでくっ付いている。

空調完備の為、くっ付いていても暑いとは思わない。

外は、猛暑日で40℃近いらしいが学校から帰ってきたらもうどうでもよくなってしまった。

出かけるときは、割と気合いを入れていたのにな。

「ぷるるるるるる」と家の内線がなる。

珍しいこともあるものだと、ソファー横にある内線の子機を取る。

「はい、幸多です」

『よかった。幸多様、ご在宅でしたか』

「千智さん、どうかしましたか?」

『申し訳ありません、夏休みのご予定をお聞きしてもよろしいですか?』

「今ちょうど、美咲とどうしようか考えていたとこですけど」

『それでしたら、少しご予定を入れていただきたいのですが』

そのあと、千智から聞いた話は子供たちとの旅行だった。

まあ、旅行ともなると付き添いは多いに越したことはない。

特に現地では。

ということで俺たちに白羽の矢が立ったのだった。

『夜はお二人で過ごされて構いませんので』

「まあ、日中の引率ですよね」

美咲に目配せをしながら話を聞く。

割と子機から声は漏れ出ているのがスピーカーモードにしなくても聞こえている。

『日中はどうしても動線が読みづらいので』

「いいですよ、俺たちも旅行でも行こうかって言っていたとこなので」

『ありがとうございます、詳しいことが決まりましたら後ほどメールを入れておきますので確認ください』

「わかりました」

『お二人の時間を頂戴してしまい、申し訳ありません。でわ、失礼します』

そうして、千智との電話は終わったのだった。

美咲が、急に抱き着いてくる。

「どうしたの?美咲」

「幸ちゃんのアイコンタクトしてたらくっつきたくなっただけ」

俺は、美咲の頭を撫でる。

耳がピコピコ動いて、やがて垂れていく。

垂れた耳は、そのまま左右にゆさゆさ動いている。

「幸ちゃんのナデナデ気持ちいい。大好き」

「それはよかった」

美咲の尻尾が忙しなく動いている。

感情豊かだなぁ。

「ねえねえ、幸ちゃん」

「どうした?」

「あのね、水着買いに行かない?」

「ああ、旅行先は聞いてないけど。必要になりそうな気がするね」

「うん、わたし去年までの着れないから買わなきゃ」

「明日いこっか」

「うん、明日いこう」

そうして、俺たちの明日の予定が決まるのだった。

暑いからでたくないなぁ。

「幸ちゃん、わたしも外には出たくないの。でも」

「わかるわかる。ああ、そういえば俺も新しいの買わなきゃだった」

「幸ちゃんもだいぶ体形変わったもんね」

明日はショッピング。

もうそれは覆らに絶対の予定。

美咲の水着楽しみだなぁ。

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