第30話 大好きな君だから

璃空がまんまと罠にはまった翌々日。

GWも終わり、今日からまた学校が始まる。

「こ~ちゃん」

涙の美咲がやって来た。

まだ、制服に着替えていないのか部屋着だ。

「どうしたの?なにかあった?」

「えっとね・・・制服着れない」

「え?じゃあ、しばらく学校さぼるかぁ」

「え、いいの?」

「美咲は、俺一人で学校行っていいの?」

「やだ!いっちゃやだ」

俺も、美咲を一人にはできない。

なら、お互いが納得するようにサボった方がいい。

「だから、俺もいかないからまずは制服買いに行こうか」

「ありがとう、幸ちゃん・・・えっと、幸ちゃんが「俺」っていうとなんかドキッとしちゃう」

そう、「僕」から「俺」に一人称を変えた。

美咲を守りたいから少しでも変わろうと思って。

彼女の姿は、すっかり大人の物に変わった。

たぶん、これ以上は大きく変わらないだろう・・・一部を除いて。

「幸ちゃん、どこみてるのかなぁ?」

「ん?日々成長してる胸」

「幸ちゃん、最近キョドンなくなった。つまんない」

「ぼく・・・俺も成長してるんだよ」

ついつい、動揺して一人称が戻ってしまった。

平常心平常心。

美咲は、ここ数日で胸だけが成長した。

他の容姿は、もうあまり変わってない。

「幸ちゃん、嬉しい?私が巨乳になって」

「ま、まあ嬉しいかな」

「うん、ありがとう。はぁ、やっとキョドってくれた」

全く彼女にはかなわないな。

まあ、俺たちはこれからも変わらない。

でも、それでも日々成長していく。

心も身体も。

でも、変わらないものもある。

お互いの心も想いも色褪せない。

募る思いは、日に日に増していく。

「美咲、好きだよ」

「私も幸ちゃんが好き、大好き」

俺たちは、そういうとどちらからともいわず抱き合っていた。

GWが終わっても、もうしばらく俺たちのGWは延長しそうだ。

制服って、そんなすぐできたかな。


第1章 完

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