第16話 放課後デート2
僕は、クレーンゲームとにらめっこしていた。
ウィンドウには、狐のぬいぐるみが入っていた。
美咲が、筐体に吸い込まれたのはちょっとおもしろかった。
両手をついて、おでこをぐりぐりしてた。
狐のぬいぐるみは、美咲と同じ黄金色で毛先が白くなっている。
まさに、美咲そのものだった。
僕もそれが気になってコンティニューを繰り返してる。
もう、2千円に近いくらいクレジットとつぎ込んでる。
ゴトッと音がして、僕はやっと景品を手に入れた。
「ほら、美咲」
「ありがとう、幸ちゃん」
僕は、美咲にぬいぐるみを渡した。
彼女は、胸の前でぬいぐるみを抱きしめていた。
まて、うらやましい。そこは、僕の・・・。
美咲が、背伸びをして僕の頭を撫でてきた。
「幸ちゃん、ぬいぐるみに嫉妬?」
「えっと、なんでわかるの?」
「幸ちゃんの事ならなんでもわかる、お家帰ってからいっぱいしよね」
僕の頬が朱に染まる。
僕は、美咲から視線を外す。
「わたしが好きなのは幸ちゃんだよ、だから安心して」
「・・・美咲、いこっか」
「うん、幸ちゃんかわいい」
美咲は、僕の左手に右手を絡めてくる。
彼女は、左手でぬいぐるみを抱えていた。
「幸ちゃん、アイス食べたい」
「ん?クレープとパンケーキは?」
「いまは、アイスの気分」
まあ、食べ物の気分は変わるものだよな。
僕は、美咲の手を引いてアイスクリーム屋へと向かった。
まあ、すぐ向かいにあるんだけどね。
「味はどうするんだ?」
「チョコミント」
「僕はどうしようかなぁ、美咲がチョコミントだと」
「幸ちゃんが好きなのはチョコミント。一緒に食べればいい」
「ん?一緒に?いいけど」
僕は、店員に注文と告げチョコミントを買った。
二人でそばにあるベンチに腰を下ろして美咲にカップに入ったアイスを渡した。
ぬいぐるみは、ベンチに置かれていた。
美咲は、透明なプラスチックスプーンを手に取り、掬うと僕にスプーンを差し出した。
「あ~ん」
「ちょっと、美咲」
「溶けちゃうから、はやく」
僕は、口に入れる。
ミントの風味が、口の中に広がる。
口の中が、すっきりしたように感じた。
そして、美咲は掬って自分の口にも入れていく。
「はい、あ~ん」
「あ~ん」
美咲は、彼女自身と僕とを交互に食べさせていった。
これさ、周り観るの怖いんだけど。
僕は、それに気づいたときすごっく照れくさくて恥ずかしくいたたまれなくなった。
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