第7話 受け入れる心
僕は、自室のベッドで目を覚ました。
どうやって、自宅に戻ってきたのか記憶にない。
気が付くと、日付は変わって3月27日になっていた。
僕の横には、あの時見たキツネ耳と尻尾が生えた美咲がいた。
ああ、夢ではないのか。
現人神。超常の存在。現世にいる神様。
神の使い・・・四神に使える動物たち。
キツネは、有名だよなぁ。
お稲荷さんか。
「幸ちゃん、わたし神様じゃない」
「声出てたか?それと、起こしちゃったか?」
「うん、小声だけどでてた。起きたのは、ちょうど起きただけ」
美咲が、上体を起こす。
耳がピコピコ動いてる。
僕は、無意識に美咲の頭を撫でてた。
「めんどくさかった、隠すの。でも、もう隠さなくていいって言ってたから幸ちゃんの前では隠さない」
美咲は、美咲だな。
いつも通り気怠そうで、でも甘えてくる僕の幼馴染みのままだ。
「幸ちゃん、幸ちゃん。もっと、もっと」
「はいはい」
美咲の頭をさらに撫でていく。
トロンとした目になる。
「ねえ、美咲。僕と結婚するの?」
「幸ちゃんとならする」
「おままご「怒るよ、幸ちゃん」」
怒られてしまった。
美咲は、理解はしてるのか。
「はぁ」と僕は溜息を吐く。
「後悔しないんだな」
「しない、わたしが幸ちゃんを幸せにする」
ここまで言わせて僕はなにしてるんだろう。
美咲のことは、誰よりも知ってるはずなのに。
それに、耳と尻尾が生えただけで信じられなくなるなんで、僕はなにしてるんだろう。
「美咲」
「なに?」
僕は、深呼吸をする。
そして、しっかり美咲の目をみる。
エメラルドの瞳に吸い込まれそうになる。
「好きだよ、だから僕と結婚しよう。誰かにしろって言われてするんじゃなくて。僕らの意思で結婚しよう」
「幸ちゃん、大好き」
美咲は、僕に飛びついて抱き着いてきた。
僕は、彼女を抱き寄せる。
月の光だけが差し込む自室。
キラキラと月光で輝く美咲の髪は、とても神秘的で僕は呼吸が止まりそうになった。
「幸ちゃん、幸ちゃん」
美咲は、僕の胸で頭をグリグリしている。
もう、可愛いんだから。
「美咲」
「なに?」
僕は、満面の笑顔を向ける彼女の小さな唇を奪った。
ながいながい口づけをした。
胸の奥が、じんわりと暖かくなっていく
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