第六話

「それで本当に何しに行ったのよ?」

 打ちひしがれている私に保乃先輩は苦笑いを浮かべながらそう聞いてきた。


「だから高い講習費用を前払いさせて、途中で解約したいって言っても返金できないって言って、クレームをつけると怖いお兄さんが出てきて、泣き寝入りするしかなくて、業者はボロ儲けしているってことを暴きに」


「何言ってるか全然分からないんだけど、要するにどういうこと?その前払いの制度がどういうものなのか聞いてきたの?」


「そのアンケートの最後のページに書いてあるわよ」

「それを早く言いなさいよ」


 大笑いし続けている梨名と天衣からアンケート用紙を取り上げると華鈴と一緒にマジマジと見つめ出していた。


「なるほどねー、返金しない代わりに別の講習を勧めてくるのね」


「それで別の講習受けさせて、これではまだ完璧にマスターしてないから最後までやり切るべきだとか言って、講習を継続させようとしてくるのね」


「これじゃ飛奈みたいな娘にはこれも受けた方がいい、これも受けた方がいいで終わらないじゃない」


「そうでしょうねー、それがやり口なんでしょうね」


 しばらく考え込んだ後、華鈴はこの相談所の女社長と怖いお兄さんの組織を同時進行で潰そうと言ってきた。私は引き続きこのまま客として騙されたふりを続け、華鈴が何かしらの罠を仕掛け逆にお金を巻き上げる方法を考え破産に追い込む。


 保乃先輩、梨名、天衣は敵組織に侵入しいつも通り武力で壊滅させる。


「それで怖いお兄さんってなんなのよ?反社組織と繋がりがあるってこと?」

「田三田建設よ」


「田三田建設!?大手じゃない、凄いとこが出て来たわね。そことどういう関係なのよ?」

「そこの会長と女社長が愛人関係なのよ」


「出たよ。そういうことか。でも建設会社の会長さんが怖いお兄さんとどこで繋がっているのよ?」


「田三田建設はフィリピンにも支社があって向こうじゃ、結構強引な地上げしていたみたいなのね。それで何度も危ない目に遭ってて、屈強なボディーガードが必要になったみたい」


「そいつらが女社長のこともガードしてるってこと?」

「そう、しかも田三田建設には悪い噂があって、重機の輸送の際に銃なんかも一緒に密輸しているみたいで、、」


「えーっ!じゃあ、ボディーガードは銃で武装しているってこと?」

「そうなるわね」


「マジか!」


「まあそっちはあなたと梨名、天衣で大丈夫よね?」


「会長殺るだけなら問題ないと思うけど、確実性を求めるならボディーガードの実態も調べないといけないとなると骨が折れそうだけどね」


「そっちは大丈夫なの?」


「お金大好き人間を嵌めるなんて楽勝よ」

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