第四章 悪徳結婚相談所をやっつけろ!
第一話
「あのー、飛奈さんは休日とかは何されているんですか?」
「私ですかー?私はー、料理したりー、スイーツ作りしてますー」
「料理が得意なんですかー、僕そういう方憧れます」
「他はイマイチなんですけど料理だけは得意なんです」
「お時間でーす。それでは男性の方、場所移動お願いしまーす」
「飛奈さん、お綺麗ですね」
「まあ、ありがとうございます」
「お部屋とかも綺麗なんですか?」
「部屋はハウスクリーニングが入るのでいつも綺麗ですよ」
「ハウスクリーニング!?もしかしてお嬢様なのですか?」
「そんなそんな、人並み程度ですよ」
「お時間になりましたー、ご移動お願いしまーす」
「素敵な御衣装ですね。ファッションが好きなんですか?」
「ファッションというか綺麗な女性が綺麗に着飾っている姿を見るのが大好きです」
「ファッションイベントとか、行かれるんですか?」
「もう大好きです。あの空間は私にとってのパラダイスです」
私はとある結婚相談所の交流イベントに参加していた。ホテルのコンベンションホールには沢山の男女が集まり一様に華やかな衣装を纏っていた。
男性は単純なスーツ姿の者はいなく、スマートカジュアルなジャケットにシャツを合わせている方が多い。女性は色とりどりのワンピース姿の方が多かった。
女性は上品な振る舞いの方が多く、どう見ても私は浮いていた。顔は一番可愛いと思うが、女性的なしなやかさが明らかに足りてなかった。昔から体育会系で女性的な振る舞いって何だよ、ってタイプの私としては居心地の悪い空間となっていた。
現にフリータイムの時間になっているというのに、私に話しかけようとしてくる男性はいない。全く何も分かってない奴らだ。そんな猫かぶりと付き合ってもいい事ないって、私のように白黒はっきりしている女性の方が絶対良いのに。
どーせ、小柄で華奢な女性が好きなんだろ。私の事、肩幅の広い筋肉質なゴツい女と思ってんだろ。あー、つまんない、早く帰りたい。どうせ誰も話しかけてこないんだから美味しそうな物、全部食べてから帰ってやるか。
「ずいぶん豪快な方なんですね」
そう思っていた時、一人の男性が話しかけてきた。私の持っているお皿には大量の料理が乗せられていて、それを見て微笑んでいた。私は途端に恥ずかしくなった。
「い、いえ、こ、これは、頼まれたもので、、」
「いいんですよ。私はそういう女性好きです」
ネームプレートにはNo.17佐藤と書いてあった。刈り上げベリーショートで彫りが深く鼻が高い爽やかな印象のする青年だった。結婚相談所に来なくても素敵なパートナーが見つけられそうな印象を受ける。確かグラフィックデザイナーをしていて職場に女性はいなく、出会いがまるで無いとか言ってた人だったかな?
「食事は元気の源ですからね。沢山食べましょう」
そう言いながら肉料理を手際よく取り分けこちらに差し出してきた。
「私はどちらかというと少食な女性は苦手で、やはり美味しそうに沢山食べてくれる方の方がいいなー」
「見事なナイフ捌きでしたけど、料理お得意なんですか?」
「いえいえ、僕がする料理といえばバーベキューのような大雑把に焼くだけの料理で、手の込んだ料理は全然です」
「飛奈さんは料理得意なんですよね?」
「ええまあ、なぜご存じなのですか?」
「プロフィール欄見た時からずっと気になっていたもので」
そんな会話があったので最後のマッチングタイムで、もしかしたらペアになれるかなー、ペアになったらどうしようなんて期待していたが、佐藤の奴は細身の小柄な女性とペアになっていた。
「何が少食の女性は苦手だよ。どー見ても少食そうな女とペアになりやがって。けっ!やっぱり最後までいるんじゃなかった。ちょっとでも期待していた私がバカみたいじゃん」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます