write of 7
亜未田久志
その数字は
そもそもラッキーセブンの由来とはなんだろうか。
調べろとも言わない。
昔聞いたことがある気がしたが忘れた。
所詮そんなものだろう。
サンドイッチが元々は人の名前だったとかそれくらいどうでもいい情報だ。
もし由来を知っていてもそれが不幸な数字になるなんて思わないだろう。
これは前置きであり。
遺書である。
№7より。
マフィアの幹部、その一人が殺された。
銃殺、死因は失血死。
残る六人の幹部は犯人捜しのため互いに互いを疑った。
№1はこう言った「殺したのは№6だ」
№2はこう言った「殺したのは№5だ」
№3はこう言った「殺したのは№4だ」
№4はこう言った「殺したのは№3だ」
№5はこう言った「殺したのは№2だ」
№6はこう言った「殺したのは№1だ」
矛盾する意見、まるで謎解きのようだが、綺麗に円を描いている。
これが何を意味しているか、とある名探偵の言葉を借りるなら。
「とても初歩的な事だ」
六人による共同殺人。
これが真実だ。
銃創は六ケ所、全てが別の角度から撃ち込まれている。
一発ずつ、ずらして撃ったと仮定してもいいがわざわざそんな事をする意味とはなんだろうか?
最初の一発で殺し切れなかったから?
残念な事にその説を否定する術を私は持ち合わせていないがマフィアのボスとしてケジメをつけなくてはならない。
そうこれは探偵ごっこじゃなくマフィアの内部抗争、その事の顛末なのだから。
私は六人に幹部に自決を命じた。
理不尽だと糾弾する声もあったが私に逆らえるものなどいない
「私の出した結論に口ごたえするのか?」
それを聞いてせめて楽な死に方を選びたいと願った六人は自らのこめかみに拳銃を当てた。
しかし私は己の判断を悔いる事になる。
幹部のケジメはちゃんとつけた。
しかしそれが№7の策略だと気づいた時には。
最初の死から全て仕組まれた罠だったのだ。
遺書の裏にこう記してあった。
「これは七人による共同殺人だ」
write of 7 亜未田久志 @abky-6102
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