10
××side
ああ、アイツは上手くやっているかしら?
明鏡家の屋敷の中でも一、二を争うくらい綺麗で広い部屋の中で寛ぎながらあたくしはふと考える。
「あ、暇だからあの傀儡いじりをしましょう!」
我ながらとても良いことを考えたわ! そうと決まればあの傀儡の部屋にある監視カメラの映像を見て粗探しをしましょう!
キュルキュルと早送りをしながら映像を眺めていると、良さそうな粗を見つけた。思わずニヤリと笑顔が浮かんでしまったのも仕方がないだろう。ふふ、今回はこのネタでいじり倒しましょう!
止められたその映像に映っていたのは、シスイがベッドの中で丸まって眠っているものだった。
この屋敷の離れまでわざわざ足を運んでやっているのだから、有難く思いなさいよ。そんな気持ちを込めてバーンとアイツの部屋の扉を開け、中にいるアイツを睨むことに全神経を注ぐ。
「ちょっと、あんたねぇ!」
「はい、
いつもと同じ辛気臭い表情で一礼し、あたくしの名前を呼ぶアイツ。ああ、やっぱり来るんじゃなかった! 辛気臭いのがこちらにも移ってしまうわ!
「あんた、寝相が悪くてよ。あたくしは丸まって眠らないわ! 仰向けよ仰向け! ちゃんと寝相も完璧に模倣しなさい!」
「……申し訳ありません。以後気をつけます。」
「明日も変わっていなかったら今度はどうなるか……カシコイあんたなら分かるわよね?」
「……はい。」
「あたくしはあんたを嫌って言っているわけではないわ。完璧に模倣出来てこそ茨水ですもの。」
「心得ております。」
「なら良いわ。ちゃんとやりなさいよ。」
「はい。」
嫌っているわけではない、だなんてちゃんちゃらおかしいわ! 自分で言ってて笑えてきちゃう! でもここで澄まし顔が出来てこそ茨水だわ。あたくし、超頑張ってる!
ふふん、今日は機嫌がいいからこれくらいで良いかしら。明日の朝が楽しみだわ~!
ふふん、と鼻歌を歌いながら夕飯を食べに食堂へと向かうことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます