男の浮気がバレた訳

新巻へもん

マジ受ける

 亜輝良が学食のテーブルに居るのを見つける。

 いつもは彼女と一緒なのに珍しく一人で座っていた。

 俺はこいつとサークルが一緒で、気が合うのか良くつるんでいた。

 名前に負けず顔が良いやつで、大学で一番の美女と評判の沙也佳ちゃんと付き合っている。

 沙也佳ちゃんはミスコンに出れば一位間違いなしの可愛さなのだが、お嬢様なので参加していない。

 まさに美男美女のカップルで周囲も羨む仲だった。

 まあ、亜輝良はたまにこっそりとワンナイトすることもあるのだが、そこはお互い様ということでアリバイ作りに協力している。

 一度沙也佳ちゃんと付き合ってるくせにと俺が言ったら、亜輝良は唇をへの字にまげた。

「だってアイツ、キス以上はやらせてくんねーし」

 そんなわけで先週末に合コンで出会った子と有名なテーマパークに泊まりで出かけていたはずなのに、つまらなそうな顔でカレーを食っていた。

 俺は横に座る。

「どした? あの娘と遊びに行ったんだろ? あんまりよくなかったんか?」

「いや、前泊したホテルで盛り上がった」

「じゃあそのしけた面はなんだよ」

「そこまでは良かったんだけど、翌日パークインしたら丁度7777777万人目の入場者だったんだ。おめでとうございますってことでタダになった上に年パスもらった」

「なんだよ。すげーラッキーじゃん。それのどこが悪いんだ?」

 亜輝良はますます仏頂面になった。

「ちっとも良くねーよ。年パスの贈呈式の様子をSNSにアップしたのが一杯居やがって、沙也佳に内緒で出かけたのがバレちまったよ」

 亜輝良は頬を押さえる。

「スマホを突きつけたかと思ったら、頬をいきなりびったーんだぜ。超痛えのなんの。じゃあね、ってそれっきりさ」

「まあ、いいじゃねえか。世の中には女は他にも一杯居るんだし」

「そうなんだけどよお。折角の逆玉計画がダメになっちまった。就活もしなきゃいけなくなるし、全くツイてないぜ」

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