第2話 正体を隠しておきたいんだ。
蓮斗は沙耶香を校舎裏へと連れ出した。
校舎裏に連れ出すというのは大体が大事だ。
うん。
沙耶香は、ベージュの髪を揺らしながら興奮気味に喋りだした。
「し、師匠、、、まさか、これは、重要な機密情報でしたか?!」
彼女は胸を張った。
「それなら、存分に褒めて下さい。この私、シャーロットが発見したのですから、よしよししてください。」
さぁ、と満足気に小柄な彼女は胸元に近づいてくると、上目遣いでコテンと首を傾けた。
ドキドキしてしまう。か、可愛い。
だがしかし!
彼は動じないように心掛け声色を変える。それは、中学生の頃のように、低い声で、
「あぁ、よくやったぞ、後で褒美をやる。真ん中に穴の空いた甘くふんわりとした揚げ菓子を召使いに届けさせよう。」
蓮斗は、役に入り込んでいた。先程言っていたことと矛盾しているようだが、これは仕方の無い事だった。
「な、、、、なんと、、そのようなお菓子があるのですか。じゅるり、じゃなかった。ありがとうございます。」
(やっぱり、ドーナツも知らないか、、、、)
変な言い方をしたが、ただのドーナツである。もちろん、召使いも居ないので後でこっそり家に届ける。
そして、連れ出した理由を説明する。
「が、学校でそれはやめてくれないだろうか?」
「それとはなんですか?」
ここで、中二病という訳にはいかない。色々と多感な時期なのだ。こういう時は、彼女が自然に気づくのを待とうではないか、ホトトギス君よ。
「師匠呼びについてだ。我は立場上いつなんどきも危険が潜んでいる。それは、学校にいても同じなんだ。分かるだろう。シャーロットよ。連中には先程の会話だけで私たちの正体がバレてしまうんだ。」
間違ったことは言ってないよね。さっきの教室とか、ものすごく危険を感じたし。
「は、はぁ。」
少し、不安な顔をしているな。蓮斗は、沙耶香に背を向けこう言った。
「最も、私が負けるはずがないが、無駄な怪我人は出したくないんだ。」
そう言って、そそくさと教室に向かった。
「さ、さすが師匠。やっぱり師匠は最強です!」
すっかりご機嫌なわんちゃんのようだ。彼女の後ろに尻尾が見えたような気がした。
そんな事はどうでもいいとして、涼太にどう説明するかだな。
分かってる間出したけど、エレベーターのってなんだ?適当に言った。都市伝説のやつか?
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わんわん
中二病な幼なじみと異世界を探す事になったがそんなのある訳ない! 佐原さばく @sahharan
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