第1話 中二病よ再び……
優しい桃色を纏った木々が並ぶ中庭を横目に神田蓮斗はうつ伏せになっていた。机の匂いは嫌いじゃなかった。
「今日から、高校生か、」
新生活の始まりに胸を躍らせて楽しみにしていたが、早く来すぎたようだ。
高校生になってからは、青春を謳歌するぞ。
部活に精を出し、友達と、ご飯を食べたり、遊びに行ったり、彼女とか作っちゃったりして、
「ぐひひひ、」
そんな事を考えていると、いつの間にか教室には、新入生が続々入ってきていた。
隣の席に腰をかけた。男子生徒に声をかける。
「おはよう、俺は神田蓮斗。これからよろしく。」
「おう、よろしく、俺は坂本涼太だ。」
短髪で目眉のキリッとした涼太は、爽やかなタイプで、いかにもスポーツ少年という感じだった。
モテるんだろうな。
小中学時代の自分とは真逆のタイプだ。
しかし、というか、だからこそ、涼太と仲良くなって、そちら側に行きたい。
何故、こんなにも願っているのかと言うと、、、ガララララッ
勢いよく扉が開かれた。少し小柄な女生徒は、勢い良く蓮斗の方へ足を進めてきた。
そして、くっきりとした目を見開き机にバンッと手を着いた。
キラキラ
「師匠、遂に見つけましたよ!言ってたエレベーターのやつです!」
元気な声が教室に響いた。自信満々と言った感じで笑顔で寄り添う様は小犬の様で可愛らしかった。
彼は、彼女の目のようにキラキラと輝く学校生活を送りたかった。しかし、長年の経験から、反射で体が反応してしまう!
蓮斗はフレミングの法則を顔に当て笑った。
「ふっ、そうか、この時が来たか。よくやったぞ我が弟子シャーロット、、、、、、あ、」
教室がザワつく。
「なにあれ?」
「あの人達なんて人?」
やってしまったあああああ!
そう、小学五年で会った時から蓮斗はこのシャーロットこと犬塚沙耶香とこのようなノリ(いわゆる厨二病)を患っていた為、友人達のいない暗い生活を送っていたのだ。トホホ
だから、青春を高校では謳歌したかった。
「れ、蓮斗どうした?」
横を見ると顔を引き攣らせた。涼太の顔があった。
「なぜ、笑うんだい?」
どんな、スーパープレイヤーでも、ここは逃げてしまうだろう。ああ、今こんなことやってる場合じゃないいい!
「ちょっと来い!」
「師匠、次の作戦ですね!」
沙耶香はキラリと目を輝かやかせ、にんまりとするが、連れ出す理由は違った。
恥ずかしいって、こんな所見られてたまるかああ!
「お、おい、蓮斗?」
ピシャンと扉が閉じられた。
教室内は、ザワザワとしていたが、涼太は顎に手を当て真剣な表情になった。
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