第6話



次の日、前日と同じように学校に向かい、教室に入る。



龍矢はまた来ていない。



前日と違うことといえば、教室に入った瞬間に司が声をかけてきた。



「おはよー白斗!」



俺は「おー」とだけ返し自分の席につく。



すると司と山口が俺の席に近づいてくる。



「なぁ白斗、今日の放課後何してる?」



「なんもしてないけどなんでだ?」



「一緒にどっか遊び行こうぜ!」



遊びの誘いなんていつぶりだろう、



特に用事もなかったのでその誘いを了承する。



「んじゃ放課後までに何するかきめよう!」



「決めてないのかよ」



「決めてない!!」



胸を張ってそういう司と、その横で少し呆れてる山口、



その光景を見て俺は少し笑みがこぼれた。



正直悪い気はしなかった



こいつらと話すのが少し楽しく感じてきている自分がいた。






いつしか時間が経ち昼休憩を迎える、



三人で机を囲み、俺は昨日と同じように、母親が持たせてくれた弁当を広げる。



司は放課後のプランを決めると張り切っている。



そんな時教室の外がざわつき始める。



出席番号順の席の配列で廊下側の俺は窓から顔を出し、廊下の様子を見る。



すると顔面傷まみれの龍矢が教室に向かって歩いてきていた。



何も言わず教室に入ってきた龍矢が俺の元に歩いてくる。



「おい、昨日二年の奴らお前のとこに来たか?」



「いや、きていない」



そう言うと龍矢は少し何かを考えた後、口を開く。



「白斗ちょっと面貸せ」



「なんで?」



「いいからちょっと来い」



龍矢はそう言って俺の腕を掴み強引に俺を立たせようとする



そこで手を振り払おうとした時、以外な人物がそれを制止する。



「おい、俺ら今から大事な話するんだよ、いきなり来てなんだお前」



そう言って龍矢の腕を掴み、言葉を発したのは司だった。



「あぁ?誰だお前邪魔するなら容赦しねえぞ?」



「そう言ったら誰でも言うとおりに出来ると思ってんのか?」



一触即発とはこのことだろう。



ピリピリした雰囲気がこちらにも伝わってくる。



司はそこまで放課後の予定を組むのが大事だったのか。



だがしかし、このままでは本当に始まってしまいそうだったし、



何より、少し好感を持ち出していたこの二人が怪我をするのは忍びない。



「司いいよ、とりあえずなんか話があるだけっぽいから行ってくる」



「いや、白斗けど、、」



「大丈夫だって、龍矢もやめろ、俺に用事があるんだろ」



そう行ってとりあえず龍矢と司を離し、龍矢に教室を出ようとほのめかす。



「ちっ、まあいい、とりあえず来い」



龍矢は舌打ちをし教室から出ていこうとする、



それに続いて俺も歩みを始めたら、またもや司が俺たちを制止する。



「わかった、じゃあ俺らも一緒に行く」



「はぁ?お前ら関係ないだろ」



「関係ないことない、こいつはもう俺らの連れだ」



司はそう言って頑なに聞きそうにない、



山口も何も話さないが黙って席から立ち上がり無言の肯定をする。



「あぁー、もうわかったから、勝手についてこい」



龍矢は諦めたかのようにそう言って教室を出ていく。



司は俺に向かって満面の笑みで親指をたててグーサイン。



状況わかってんのかよと思ったが、



さっきの言葉は正直少し嬉しかった。






教室をでた俺達は龍矢について行き、



入学式に行った校舎裏まで来ていた。



「で、なんの用だよ」



「単刀直入に言うと、白斗お前今日の放課後手伝え」



「は?何を?」



「二年が俺ら二人の事しめるって息巻いてんだよ、昨日俺んとこに来てな」



それでこいつはこんなにも傷だらけなのか



「で?お前はボコされてその様か?」



「ふざけんな!返り討ちにしたに決まってんだろ!ただちょろちょろ来られても鬱陶しいから今日のうちに二度と俺らに絡んでこれないようにするんだよ、言っとくけどこれは善意で持ちかけた話だぞ、お前も狙われてんだからな」



俺は少し考える。



全くとんだ災難だ。



一難去ってまた一難。



龍矢との件は思わぬ形で落ち着いたかと思えば、次は先輩かよ。



その話を聞いてずっと黙っていた二人が沈黙をやぶる。



「じゃあ俺らも手伝う」



そういったのは以外にも山口だった。



「あぁ?てめぇらみたいな眼鏡とチャラ男に何ができんだよ!」



確かにそこまでは言わないが、この二人に喧嘩なんて似合わない、



ましてや山口なんて明らかな優等生タイプだ。



「おい、龍矢、お前は知らないかもだが、山口は極真空手の全国出場者だぞ?ちなみに俺も黒帯」



ニカっとはにかんで司は俺にピースをしてくる。



すごく以外だったがそれは龍矢も同じだったようで、



「ふん、喧嘩と競技じゃ全然勝手が違うからな、一緒に来たいんなら好きにしろ」



少し納得のいってなさそうな感じでそういった。



「しかたないな、今日遊びに行くのはちょっと延期で、今日はモンスターハンター気分で狩りにでかけるか!」



司が寒い冗談を言ったところで場がシーンとなったが、龍矢が話し出す。



「じゃあお前らも戦力として数えるとして、とりあえず二年の奴らは基本学校には来てないらしくて、昨日の奴らにたまり場を聞いといたからそこに突っ込むぞ」



俺はそこまで乗り気ではなかったが、実際狙われてるのは俺本人で、



司も山口も俺のためを思って手伝うと言ってくれているのであろう状況だったので、



俺も仕方なく首を縦にふる。



単細胞の龍矢に作戦会議も何もなかったので、とりあえず放課後ってことで

その場は解散になった。

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