第5話



次の日、皆がこれから始まる学校生活に胸を踊らせているであろう初の登校日。



教室に入ると皆の視線が俺に集まる。



なんだ?人を死人でも見たかの様な目で見てきやがって



ちらっと龍矢の席を見る。



無人の席がそこにはあった。



俺はその誰も座っていない席を横目に自分の席につく。



程なくして二人の人物が俺の席まで訪ねてきた。



「なあ、お前普通に学校くるのな!怪我もないし昨日どうなったんだ??」



そう言って話かけてきたのは、司だった。



「普通も何も、昨日は何もなく帰った。」



「龍矢に絡まれて五体満足で帰った奴なんて聞いたこと無いぞ」



続いて山口が言葉を発する。



そんなやばい奴なのかあいつ、



ちょっと前まで小学生だろ?



どんなヤンキーの英才教育受けてきたんだよ。



「そうなのか?まあ何もなかったしな」



俺はそう言ってそれ以上は何も話さなかった。



二人が何か話していたが俺はほとんど聞き流して、気づけばチャイムがなった。



教卓の前にクラスの担任が立ち、出欠を取る。



「なんだ?初日からいきなり佐藤は休みか?」



などと小言をいいつつ出欠確認を終える。



その後授業が終わり、休憩時間のたびに司と山口が絡んでくる。



そして四限目の授業が終わり学校指定のダサい鞄から弁当をだす。



母親が持たせてくれた弁当だ。



騒がしい教室の片隅で一人昼休みを送るつもりだったが、



例の凸凹コンビはそうはさせてくれなかった。



「白斗一緒に飯くおうぜ!」



そう言って司が購買で買ったであろうパンと紙パックのジュースを持って俺の席まで来た。



山口は持参の弁当を持っている。



「お前らなんで俺に絡むんだ?」



「なんでってクラスメイトと仲良くしたらだめなのか?」



「司がお前の事面白いやつだから友達になりたいんだとよ」



「おい!山口!何こっぱずかしい事言ってんだよ!」



そうやって話す二人に対して俺は久しく感じたことのなかった感情を抱いた。



友達か、久しく聞いてなかったワードだな。



気づけば一人を除き誰も俺に近づかなくなったし、



友達って存在とは無縁の一人っきりの小学校生活を送っていたから。



俺の気持ちはお構いなしに距離を近づけてくる感じが、なんとなくだが



そこまで悪い気はしなかった。



俺は特に断る事はせずに「あぁ」とだけ返事をして一緒に食事をとることにした。



その間も司と山口は二人で会話を繰り広げたまに俺に話しを振ってくる。



それに対して俺は相槌を打つだけ、



この時は俺自信この二人とそこまでの交流を持つことになるとは思ってもいなかった。



チャイムが鳴り、二人は自分の席に戻る。



授業がはじまり、時間が流れる、



気づけばその日の授業は全て終わり、いつしか下校時間になっていた。



下校時間になっても龍矢はこなかった。

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