第3話

別れがあり、出会いがある。




出会いの季節がやってきた、




長ったるい校長の話が終わり、各自割り振られた自分のクラスへ向かう。




俺はそこで初めて司、山口、龍矢と出会う事になる。



クラスに入ると目につく人物がちらほらいた、



でっかい声でおちゃらけてるイケメン、それが司

そのとなりで読書をしているめがね、それが山口



あきらかに不釣り合いなペアの二人で、逆に目立った。

それがこの二人の第一印象だった。



だがその中でも一際目立っていたのが龍矢だった。



教室の後ろで偉そうに足を机にのせて

ふんぞり返っている。

入学式の時点で金髪のオールバック、

誰がどう見てもヤンキーやってますって見た目だった。

周りのやんちゃっぽい奴らはみんな龍矢の言いなりだった。



俺と同じ小学校ででかい顔をしていたやつもいたが、

龍矢の前では子鹿のようになっていた。



入学前にうっすらと噂は聞いていた、



しかし正直俺には関係ないとは思っていたし、



何か自分に害があるなら、今まで同様ぶっ飛ばしてやる。

ぐらいの感覚でいた。



ただ龍矢と目があった瞬間、刺すような眼光を浴びて

中学一年とは思えないような風格、

俺の龍矢への第一印象はぶっちゃけちょっとびびった



無言の時間が五秒程続いた後、龍矢が口を開いた



「おぉーい、お前何ガン飛ばしてんの?」



「お前だろ?」



「お前俺の事知らねぇ事はねぇよな?わんぱく坊っちゃん」



ピキっと頭に血管が浮かんだ



なんでこいつが知ってるのかはどうでもいい



多分同じ小学校の奴が告げ口したか何かだろう、



ただガキのプライドなのか、過去のトラウマなのか、ここで引く事によって今後の自分の立ち位置が左右されるのは

嫌という程知っていた



だから引けなかった。



俺は黙って龍矢の前まで足を進めた。



「お?なんだ?キレたのか?いいぞ、やるか?」



震える拳を収め、俺は一旦冷静になって

言葉を発する。



「放課後だ、放課後まで待っとけ」



龍矢はその俺の言葉に何も言わなかった



じっと俺の目を見つめ無言の圧力が凄かったのを覚えている。



その瞬間の周りの沈黙と、俺達への視線が

何よりも居心地が悪いものだった。



この時ほど、待ち遠しくない放課後は

後にも先にもこの時だけだっただろう。



自己紹介もホームルームも終わり

俺の思いとは裏腹に時間は過ぎ去っていく、



待ち望んでいないその時がやってきた。



帰り支度の最中龍矢は俺の元にやってきた



「よお、坊っちゃん、覚悟はできたか?」



「そりゃお前だろ?」



本当にくだらない



不良漫画みたいなセリフでつっかかってきやがって、



こんな奴相手にするだけ無駄だとはわかってる。



ただどうしても過去の事を思い出す。



こういう奴らは下手に出た瞬間に図に乗る



だから絡まれた時点でアウトだ



本当に幼稚だ



絶対にこいつとは仲良くできない



その時の俺はそう思っていた。



学校の校舎裏に人が寄り付かない場所があった。


俺と龍矢とその取り巻きはそこに向かった。



入学そうそう喧嘩かよ、

これからの学校生活不安しか無いな、



そんな事を考えながら歩く俺はこの後起こる

予想外な出来事なんか予想もしていなかった。

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