第2話
休み明けの朝
高校をやめると同時に一人暮らしを始めた俺は
ギリギリに起きて朝食を取らずに
いつものように仕事に向かう身支度をし、家をでる。
同級生のみんなはまだみんな寝ている頃だろう
日が昇りたての朝日を眩しく感じながら職場に向かう。
「おはようございます」
「おーおはよう」
事務所についたらまずは元気よく親方に挨拶をする
俺の仕事内容は配管工の仕事だ。
そこで独り立ちした今の親方が高校を中退した俺に声をかけてくれたことがきっかけでここで働いている。
親方とはどういった関係かというと中学のときに
悪さばかりして俺は鑑別所に入れられた事があった
出所後に保護観察官として俺の面倒を見てくれたのが今の親方だった。
出所後もまだ反省をせずに悪さをしていた俺を見放さずに
しっかりと更生させてくれた第二の父親みたいな人だ。
本当に頭があがらない
「白斗!来週から現場が変わるから朝もうちょい早くなってしまうが、朝起きれるか??」
「えー、まじですか?勘弁してくださいよ親方ー、起きれるか?じゃなくて強制でしょ?」
「はっはっは!よくわかっとる!まあそういうことだ!じゃあ今日も気合入れていくか!」
冗談交じりでなんてない会話をしながら
親方の車に乗り込み現場に向かう
同級生が勉強している中、俺は仕事の技術を磨く日々
いつかは俺も独り立ちするのかな、とか、
その時は適当にそんな事を考えながら特に将来のことを難しく考えたことはなかった。
「白斗そろそろ休憩にすっか!」
「はい!」
一旦仕事を切り上げて昼食を取る為
近くのラーメン屋に入る。
「白斗お前彼女はまだできないんか?」
「できないっすよ、出会いもないし」
「なにー?お前ぐらいの年頃だと紹介なりなんなりあるだろーに、若いうちに遊んどけよー」
「まあ、そういう話がないわけではないっすけど、今はあんまり興味ないですかね」
「お前のその顔面があればとっかえひっかえだろうに、もったいないなぁ」
親方はそう言って茶化すように笑う
確かに容姿は整っている方だと良く言われる。
ただ今はなんとなく彼女とかそういう気分になれない、
夢の中のあの女性が、一体誰なのか、
すごく大人びた雰囲気で
誰が見ても振り返るであろう整った顔立ち
そしてどこか懐かしい
その女性を意識してしまって
どうしても比べてしまって、
同年代の女がすごくガキっぽく感じてしまう。
最近は夢の頻度が2週間に一度ぐらいのペースで見るようになった。
「おーい白斗、ぼーとして何考えてんだ?飯食ったんなら現場戻んぞ!」
「あ、はい、すんません」
昼休憩が終わり一日の作業を終え自宅に戻る。
これが一日のルーティーンだ。
自宅についてすぐ風呂に入り、
いつものつまらなくなったバラエティ番組をポケーと見ながら飯を食う。
何も変わらない。
こうやって一日が終わっていく。
そうやって一日の終りを感じながら
来週からもうちょい早く寝ないとな、
なんて考えていると一本の電話がなった。
携帯の着信画面には「司(つかさ)」と表示されていた。
俺は特に何も考えずに電話にでる
「おー司、どうした?」
「よー!白斗!お前今週の土曜日何してる?」
「今週?何もしてないけど。」
「おー、今週海行こーぜ!山口と龍矢も誘って!」
「オッケーんじゃ空けとくわ」
「また連絡する!」
そう言って司は電話を切った。
千堂司(せんどう つかさ)
山口賢治(やまぐち けんじ)
佐藤龍矢(さとう りゅうや)
この三人は中学時代にずっとつるんでいた連れ達だ。
俺らの中学は3つの小学校から集まっていて、
司と山口が同じ小学校
龍矢と俺はそれぞれ別々の小学校出身だった。
三人とも俺が昔いじめられてた事を知っていた。
司と山口はそんな事気にせず中学入学と同時にすぐに仲良くなった。
ただ龍矢に関しては最初の出会いは最悪な形だった。
ふと俺は中学入学の時の事を思い出していた。
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