第12話 馴れ初め紹介 7
「……仲良くなって、付き合いだしたの?」
今のはそう見えちゃうよねミカちゃん。
でも違う。
「如月君が一番好きな漫画は、あの伝説的バスケ漫画らしくて、中でも好きなのが最終回でハイタッチするシーンなの。今のはそれを真似たんだよきっと」
「…どっちかって言うと、試合で初めてジャンプシュートを決めて監督とハイタッチするシーンに似てたよ」
「私がホワイトヘアーブッタだと言いたいのかい」
「ちょっと似てる」
「ほんと酷くない!?」
「アスカが誤魔化そうとするから」
「誤魔化してないよ、本当だよ」
「ふ~ん……私はそれで納得するけど、他の女子はどうだろうね」
もし鋭い視線が可視化出来たら今の私は逆ハリネズミだろう。
だと言うのに、
誠一郎さんの何順か後。
武田君も障害物競走に出場していたようで一位になる。
そして今度は手も上げてないのに武田君もこっちに来て、
「図師っち、ウェーイ!」
と手を出して来た。出されたらこっも上げるしかないよね。
「う、ウェーイ。おめでとう」
バチンっ!
さらには轟君も障害物競走だったようで、一位になってこっちに来る。
「おう、一位だぜ」
当然のように手を出してくる。
三度目なんでこっちも慣れたように、
「うん、おめでとう」
バチンっ!
「私が休んでたから知らないだけで、一位になったらアスカとハイタッチするルールがあるの?」
「そんなルールがあるとしたら私の知らないところで決まったんだろうね。ひょっとして罰ゲームかな?負けたら好きでもない女子に告白する的なやつの類似系」
「三人共一位だし!こんなに羨望と嫉妬を集める罰ゲーム聞いた事ないわよ」
女子達からの鋭い視線はさらに増え、逆ハリネズミを超えて逆ヤマアラシだろう。
競技は進み、私も
「えいや!」
と玉を投げる。
籠に届いきすらしなかった。
「ちょっと図師さん、真面目にやりなさいよ」
私の様子を見て天野さんが怒ってる。
「やってるよー、ノーコンなだけ」
「そんな遠くから投げてるからでしょ!」
私は籠を囲むみんなのさらに外側から玉を投げていた。
「中に入りなさよ」
「…フレンドリーファイアされそうだから止めとく」
私が外に居るのはどさくさに紛れて玉をぶつけられそうだから。自意識過剰かもしれないけど実際トイレで囲まれてるしね~。
「そういうオタク用語止めてくれる、意味わかんないから」
フレンドリーファイヤーは戦争用語だけどね。でも女子高生で知ってるのはやっぱりオタクかな…アニメ・漫画のオタクとは限らないけど。
「私が入るスペースないし、投げるの上手い人達で頑張ってー」
「何で応援感覚なのよ!」
「良いでしょ、アスカは応援旗頑張る代わりに足引っ張るって了承得てるんだから。てか無駄口たたいて無いで天野も玉入れなさいよ」
カヨちゃんが助けてくれる。カヨちゃんは男子とは面と向かってしゃべることも出来ないが、女子には強いのだ。
「分かってるわよ……チっ」
こっち見て舌打ちしてる。これからしばらく背後には気を付けないといけないかな。
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