第6話 馴れ初め紹介 2
初絡み後はしばらく会話もしない元の状態に戻った。
私の漫画読みたいってのはリップサービスだと思ってた。
そして二回目の絡みは体育祭前。
「400mリレーは
体育委員の轟君が教壇に立って種目を決めていく。
私は運動苦手だから比較的楽な玉入れと全員競技の綱引きしか出てない。玉入れですらしんどいんだよね。
「出場種目はこれで全部決まったな。次は応援旗をどうするか?」
私の学校では各クラス応援旗を作る
「強そうな感じの旗にしようぜ!」
と速攻発言したのは武田君。
「強そうな感じって武田…、四文字熟語にすることか?」
「そっちの漢字じゃねぇよ!」
教室に笑い声が満ちる。
硬派でちょっと天然の轟君とガキっぽいけどノリの良い武田君……ベーコンレタス好きが腐っちゃうねぇ。
「去年の体育祭、上級生クラスの中に竜とか虎とかの絵描いて目立ってた旗あったじゃん」
「あぁ~…、言いたいことは分かったがお前絵描けんのか?」
「いや、俺絵心零」
「オイ、言い出しっぺ!」
この時クラス全員が心の中で轟くんと同じツッコみしたと思う。
ここでだ、
「あ、図師さんが絵上手いよ」
誠一郎さんが私の名前を出した為、クラス中の視線が私に向く。
「うぇ、ぁ…私!?」
運痴の私にそんなノールックパスは反応出来ないよ。
「そう言えば、美術の授業で上手い絵描いてたの見た」
誰かがそんな言葉を口にする。
「そうなんだ!図師さん竜とか描ける?」
武田君の直球の問いかけを、
「……七つの玉を集めたら出て来るドラゴンみたいのなら描ける、と思う」
オタクらしく打ち返した私。
「おぉ、良いじゃん!それ描いてよ!」
「待て待て、凝った旗にするなら旗作り用の時間だけじゃ足らないから放課後残ってになる」
「そっか、図師さんに私生活の時間使わせることになるんだね。ごめん、余計な事言って」
謝る誠一郎さん。そんなイケメンの申し訳なさそうな顔見たら何とかしようと思っちゃうじゃん。
「いや、大丈夫だよ。私部活やってるから放課後残るの問題ないし、やる事は普段と変わらないしね」
「図師って何部だ?」
「美術部と漫研を掛け持ちしてる」
「ワォ!マジで凄いの描けそうじゃん!!」
「ははは、期待に添えれるか分からないけど…」
「う~ん……他のみんなはどう思う?」
と轟君がクラスメイト達に訊くと、
「どう思うって聞かれても、どんな絵になるか分かんないから何も言えな~い」
「ショボい絵だったら逆にテンション下がるのよね~」
これはカースト上位の女子の意見。誠一郎さんが私を推薦したことに嫉妬しての発言だろう。
「なら今日ラフ画描いて明日持ってくるから、それ見て決めるってのはどう?」
「図師、ラフ画ってなんだ?」
「下書き、イメージを伝える簡単な絵だよ」
「なるほど…皆もそれで良いか?」
ここで反対する人は居なかった。
「それじゃラフ画ってのを頼む図師」
「了解!体育委員長」
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