3月6日

 西暦2023年3月6日


 盛り過ぎキャンペーンをやっていた某コンビニなんですけど、うちの母は結構ヘソクリがあるらしくて、盛り過ぎコンビニ銀行に口座を持っているんですよ。で、突然、


「ちょっと、おかしいのよ。お金を下ろせないの。どゆこと」


 とか言い出しましてね。暗証番号を間違えたんじゃないかと思ったんですけど、見せられた利用明細には「指定されたお取引はただいまお取り扱いできません」と印字されておりまして、どうやら本当に下ろせない様子。


「いくら引き出そうとしたの?」

「50万円」

「そりゃ無理だわ」


 いやあ無知って怖いですね。そこのコンビニ銀行は1回あたりの出金限度額が20万円なんですよ。それを教えてあげると、


「えー、じゃあ15回も操作しろってこと! 面倒!」

 と途端に不機嫌になりました。

「300万円も引き出してどうするの?」

「別の銀行に預けるのよ」

「だったら振り込めばいいんじゃないの?」

「振込手数料がもったいない」


 ケチ臭いですね。まあそれは置いといて、どうしてお金を別の銀行に移そうと思ったのかと尋ねたら、金利が下がったからというお答えでした。そこのコンビニ銀行、残高300万円以上なら普通預金の金利が0.15%ってのが売りだったんですが、去年の8月に0.001%に改悪されたらしいんですな。

 改悪と同時に特別金利0.15%定期預金キャンペーンが始まったのでそれに乗り換えたものの、今年の2月に満期になり、新しいキャンペーンも始まらないので引き出して他の銀行に移そうとした、こんな事情だったようです。


「振り込みがイヤなら地道に20万円ずつ引き出して預け直すしかないね」

「わかったよ」


 母は渋々納得しました。これで一件落着かと思ったのですが、またもトラブル発生。今度は、

「20万円下ろそうとしたら下ろせない」

 というものでした。

 言われた通りに20万円ずつ引き出していたのですが、3回目に引き出せなくなったようです。


「う~ん、どうしてかな」


 さすがにわからなかったので調べてみたら、そこのコンビニ銀行、一日の出金限度額が50万円だったんです。つまり300万円下ろすには6日間通い続けないといけないわけです。


「面倒! なんとかならないの!」


 と言うので再度調べてみたら、出金限度額は200万円まで変更できることがわかりました。しかし変更するにはワンタイムパスワードの登録が必要で、そのためにはスマホにワンタイムパスワードアプリをダウンロードして初期設定を終了させ、表示される8ケタのパスワードをダイレクト画面に入力してようやく限度額が変更できるという、実に手間暇かかる手続きが必要なのでした。


「やって!」


 スマホに不慣れな母に出来るはずがありません。私が代わりにやってあげました。手続き終了後、限度額は即時に変更されるので、その日と翌日の2日間で母の300万円は無事別の銀行に移動できたようです。


「次はどうやって運用しようかな。投資信託か株か、そろそろ仮想通貨やFXに手を出してもいいかも」


 なにとぞ堅実な運用先を選んでくださいと願わずにはいられません。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る