第2話「聞き込み調査」

翌日


シヴァルビアはオーヴェルの居場所を当てもなく探し続けた

だが、もちろん見つかるわけもなく何時間何十時間も歩き回っただけであった


フローラ「ハァ…ハァ…もう疲れたデース!少し休むデス!」


シヴァルビア「勝手にしろ、俺はまだ歩く」


フローラ「んもぉ!どこに向かってるかせめて教えろデス!」


シヴァルビア「お前には関係ねぇって言ってんだろ」


フローラ「関係あるデス!これから一緒に旅する仲間デス!」


シヴァルビア「てめぇが勝手についてきてるだけだろうが!」


フローラ「むぅ~…」


しゃがむフローラ


シヴァルビア「あ?何やってんだ?」


フローラ「お腹すいたデス」


シヴァルビア「どっかで食え」


フローラ「お金ない場所知らない空腹で動けないデス」


シヴァルビア「クソガキ、俺はお守じゃねぇぞコラ」


フローラ「なんか食わせろデス!」


シヴァルビア「…チッ、ついてこい」


場変


町一番の安いファミレス


フローラ「美味いデス!」


シヴァルビア「食ったら行くぞ」


フローラ「ついていっていいデスか?」


シヴァルビア「くんなっつってもついてくんだろお前」


フローラ「もちのろん!」


シヴァルビア「はぁ~、好きにしろ」


フローラ「これも頼むデス!」


シヴァルビア「俺の金銭考えろよコラ」


場変


オーヴェル「…ん?」


?「グルルルル!」


オーヴェル「飢えてるねぇ!久々にご飯を上げようか」


少女「ッ!!!」


オーヴェル「今日は君だね」


少女「た、たすけ…」


少女が丸い球体にされる


オーヴェル「さぁ、お食べ」


球体を投げ化物がそれを食べる


オーヴェル「フフフ」


化物「ガァアアアアアア!!!」


オーヴェル「そうか美味いか!ハハハ、じゃぁもう一人プレゼントだ!」


少年「ひぃ!!!」


カムロ「二つも生命を与えていいのですか?」


オーヴェル「ん~、問題はないが万が一もある、やめておこう」


少年「…」


オーヴェル「だが、次は君の番だということを忘れずに」


少年「ッ!!!」


カムロ「こんな化物を作って何をするのです?」


オーヴェル「これは化物であって化物ではない」


カムロ「?」


オーヴェル「これは…ある子の被り物さ」


カムロ「…」


オーヴェル「僕の前からは逃げられない」


翌日


場変


フローラ「美味いデス!」


今日も安いファミレスに来ている二人


シヴァルビア「早く食え」


フローラ「デス!」


そして翌日


フローラ「美味い、デス」


翌日


フローラ「ん…美味いデス」


翌日


フローラ「う、美味い…デス」


翌日


フローラ「う…」


翌日


フローラ「いい加減にしろデス!!」


シヴァルビア「ファミレスで騒ぐんじゃねぇ」


フローラ「毎日毎日ここばかり!他はないデスか?!」


シヴァルビア「てめぇ、食わしてもらってる身で贅沢言ってんじゃねぇぞ?」


フローラ「さすがに飽きるデス!ここのメニューも全部食い終わったデス!!」


シヴァルビア「曜日ごとに食うもん決めて楽しめ」


フローラ「ふざけデス!」


シヴァルビア「それより食わねぇなら行くぞ」


フローラ「待つデス!言いたいこといっぱいあるデスけどまずは教えてほしいデス!どこに向かってるかそろそろ話しやがれデス!!」


シヴァルビア「ファミレス」


フローラ「ファミレスはもう来てるデス!フローラを馬鹿にするなデス!」


シヴァルビア「うるっせぇなぁ、じゃぁ明日から飯抜きな」


フローラ「わぁやっぱここは美味いデスねぇ!」


シヴァルビア「このガキ💢」


フローラ「はむ!」


シヴァルビア「お前を実験に使ったやつの名前、もう一度教えろ」


フローラ「え?」


シヴァルビア「二度は言わん」


フローラ「オーヴェルって博士デス」


シヴァルビア「このままただ歩き回ってもらちがあかねぇ。聞き込み調査だ」


フローラ「無駄デス。場所を知ってる人なんていませんし、何よりもういいのデス!フローラはシヴァルーと一緒に旅ができれば…」


シヴァルビア「お前勘違いしてんじゃねぇぞ?俺は退屈な日常をぶっ壊したい、ただそれだけだ。お前の話が面白そうだったから乗ってやってるだけだ!助けるとか救うとか、一緒に旅するとかそんなのどうでもいい、うぜぇんだよ!なんなら今から突き放して破壊してやろうか?」


フローラ「シヴァルーはそんなことしないデス」


シヴァルビア「あ?お前に何が…」


フローラ「あなたより倍生きてるのデスよ?目を見ればなんとなくわかります」


シヴァルビア「ッ!」


シヴァルビアにはいつもと違う今のフローラが、物心ついたころにはもういなかったはずの、知らないはずの母に見えた


シヴァルビア「チッ、さっさと食え!」


フローラ「…」


そんなシヴァルビアを見て微笑んでいるフローラは

いつもは子供っぽいのにどこかお姉さんのような、お母さんのような眼差しで見つめていた


そして数日後


二人は聞き込み調査をずっと続けていたがオーヴェルの手掛かりは何も掴めないまま時間だけが刻々と過ぎて…


場変


シヴァルビア「チッ、最終手段だ」


フローラ「ここって、警軍の本部?」


シヴァルビア「そうだ、とはいえ俺は政府から手配書になる手前の人間だ。快く受け入れてくれる可能性は低い」


フローラ「なんで手配書になりそうデスか?」


シヴァルビア「人を何人か殺してるからな」


フローラ「…」


シヴァルビア「それが善意であることが手配書になってない理由だ。だが人殺しには変わりねぇ」


?「自分の立場をよく知ってるじゃないか」


シヴァルビア「誰だ!」


?「ごめんよ、自己紹介が先だったね」


上から降りてくる警軍の隊長


鬼山「僕は警軍1番隊隊長 鬼山藍真、よろしくねぇ~」


シヴァルビア「1番隊隊長、さっそく隊長かよ」


鬼山「そんな警戒しないでいいよ、僕は戦いは嫌いだからさぁ~。戦わずして終われるんならダラダラして終わりたいのさ」


シヴァルビア「…」


鬼山「ところで君はここに来るの初めてだよね?破壊王(デスブレ)のシヴァルビア・グルゼリア君」


シヴァルビア「人を探してる、知ってるなら教えろ」


鬼山「いいよ、聞いて」


シヴァルビア「オーヴェル・ティアベルって科学者の居場所を教えろ」


鬼山「彼人気者だねぇ」


シヴァルビア「はぐらかすな!」


鬼山「何人も彼の居場所効いてきた人いたけど、僕ら政府もわからないのさ」


シヴァルビア「チッ」


鬼山「彼のことはいろんな人から聞くんだ、極悪人の科学者だってね。証拠こそないけど、町の人達や訪ねてくる子たちが口そろえて言うなら、僕らも行動しないとねぇ。とは言ったものの、居場所はわからないのさ」


フローラ「…」


鬼山「ただ、拠点かなって思ってる目星は何個かある」


シヴァルビア「全部教えろ」

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