第24話

 オレ達は遺跡に踏み入った。


「さて、ここから遺跡か。確か途中まではもう枯れていて、隠し通路があるんだったか」

「その通りですわ。まずはそこまで先導致しますわね」

 ユイミの案内でとある通路の行き止まりに行きつく。

「なるほど、この壁が動くのか。罠は……なさそうだな。さて、どうやって動かすか」

「ハーくん、ここ見て。下の方に窪みがある」

「なるほど。そこに手をかけて上に押し上げる仕組みか」

 ハーヴェイが手をかけると壁が上に滑って天井に収納された。

「さて、ここからは未踏域だ。何が待ってるかわからないぞ」

 ハーヴェイが気合を入れなおす。


「しかし、遺跡って明るいもんなんだな。オレ、てっきり下水道みたいに真っ暗かと思ってた」

「それは僕も同感だな。たいまつで片手が塞がらないのは助かるが、どんな仕組みなんだろうな」

「んー、魔族の技術なのかな? 凄いね」

「そうですわね。わたくしどもも技術を再現できないか検証を重ねてますけど、未だにどうなっているのかさっぱりだそうです」

「おっと、止まってくれ。何か仕掛けがあるぞ」

 そういわれて全員足を止める。見ると、今までそれなりに転がっていた虫やネズミの死骸が全くない床があった。

 その床にハーヴェイが石を放る。すると、


 ドォォォォォン!!!


 という轟音と共に天井が一瞬で降ってきて、床と密着した。

『……』全員が黙る。

 10秒ほど待つと、元天井が少しずつせりあがり、再び天井へと戻る。投げた石は粉々だ。

『帰ろう』3人の意見がハモる。

「ちょっと何をいっているんですか! まだ遺跡に入って何分も経ってませんのよ!?」怒るユイミ。

「まだ遺跡に入って何分も経ってなくて即死トラップに出会ったから言ってるんだ!」キレるハーヴェイ。

「中の財宝を守るために仕掛けた罠ですわよ? 軽傷で済むとでも思っていたのですか?」

 ぐ、言われてみればその通りだし、気持ちの上では即死級のトラップは覚悟していた。

 でもイメージするのと実物を見るのでは迫力が全然違う。心が折れるのはちょっと許してほしい。

「……すまない。僕がどうかしていた。探索を続ける」ハーヴェイが謝り、オレとシイナもごめんなさいする。

「でもこんな罠、いったいどう攻略するんだ? オレには解除できる気がしないぞ」

 多分ハーヴェイもシイナも同じ思いだろう。

「ん。だから、解除する必要のない罠なんじゃないかな? うん。この横の壁、多分開くよ。先が空洞みたい」

 さすがシイナ。目の付け所が違う。

 ハーヴェイが罠がないことを確かめると、その扉を開ける。罠避け用の通路が現れた。


よし、先に進めるぞ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る