安定という大人、挑戦という若さ

サウナから出て水風呂に入り外気浴中に完成する「ととのう」の正体は、副交感神経によるリラックスと、アドレナリンによる興奮が「共存」している状態だという。


筋肉は収縮と弛緩を繰り返すことで柔軟に鍛えられ、肌は暖めて毛穴を開き汚れを落とし冷やして閉めるのがいいという。


笑いも緊張と緩和といわれるように、なんにおいても緩急は重要のようである。幸福は不幸を知らなければ感じられないし、挫折を味わうからこそ達成がある。


なんでも自分でやらないと気が済まない性格から誰かに指示されることを避けるように生きてきたが、ここも緩急とも言うべきか、最近は、誰かに指示されたくなってきた。


自分で考えたことをうまくできるかどうかではなく、誰かが指示されたことをその通りにできるかどうか。


先日、あるオーディションを受けることになった。オーディションはまさに相手側の望む人材になれるかどうかの勝負である。


この緊張感は久しぶりに味わうものだった。その現場がどういうところで、どういう人がいるか全くわからない。


開けたことのない扉の前に立つ緊張感はいくつになっても感じることができる。問題は、その扉の前に立つかどうか、そしてその扉を開けるかどうか。


わざわざそんなところへ行ってそんな扉を開けずとも、生きていけるのが大人なのかもしれない。ただそれは、「老い」と同義のようにも感じる。


この緊張感を味わったとき、まだ経験していない自分が山ほどいると思った。先が分かる範囲のことしかしてきていない証拠だ。


そのオーディションは思ってたよりきちんとしたもので、他の受験者たちも真剣そのものであった。


明らかに場違い感を感じたが、やるだけのことはやった。


いい緊張感をもらった。少し若返った気がした。


次は結果が伴うといい。

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