題:17
唐突に切り替わった視界。見覚えのある顔。どうやら、終わりみたいだった。ん、顔?
「キュウ君、重いんだけどさ……」
「ヤジルシさん⁉す、すいません!」
慌てて俺は飛び退いた。さっきまで俺の足元にはラクネーちゃんが居たはずだから、ヤジルシさんは物語の中で悪役、つまりラクネーちゃんの役割を与えられてたってこと。なら、お姫様は?
振り向くと、一緒に帰ってこれたらしいケイちゃんとシーナちゃんが二人そろった青い顔で俺の後ろを指差していた。
「満足……とまでは言えないけど、そこそこ楽しめたわ。そういう結末も嫌いじゃないけれど、もう一工夫欲しいわね。ま、及第点ってところかしら」
開いたページからラクネーちゃんと同じ格好をした金髪少女の頭だけが覗いていた。眼鏡は掛けてないけど、お城に居たお姫様と同じ顔をしている。ページからニョキッと生えてきた手が俺に向かって小さな鍵を投げ渡した。キャッチしてよく見ると、南京錠の鍵みたいな形をしている。
「そうだ、私は
一方的に喋って少女は沈むように本の中に消えた。二度と行きたくない。
「ありがとう、皆。特に
へへっと笑った俺は何だかよく分からない本を閉じて、棚に丁寧にしまった。恨まれるのは、もう勘弁だから……。
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