題:12
モニターの向こう側でイイ君が床下に落下していく。急いでマップを開いて地下の構造を表示する。無我夢中で彼の足跡を辿っていた私は、背後から肩に触れられて椅子から転げ落ちた。
「また業務外活動ですか。ほどほどにしておかないと社長に釘刺されますよ」
驚かせた張本人の彼はショートウルフの髪型同様、涼しげな表情で私を笑っていた。ムッとした私は勝ち目がないのは分かっている上で噛みついてみる。
「
「いやここモニター室ですからね。流石に人の部屋に入る時はノックしますよ」
さらりと流された私は椅子のひじ掛けを掴んで立ち上がり、再びモニターで彼を追う。地下室に落とされた彼は壁に体を打ち付けて気を失っていた。その部屋の仕組みを彼に伝えようとマイクを掴んだ手に佑君の手が重なる。
「親には……子を信じる気持ちも必要ですよ、キョウカ先輩」
子を信じる……か。冷たそうに見えて案外良いことを言うユウ君に感心したものの、その言葉が妹さんの受け売りであることに気が付いて溜め息を吐く。そうだ、ユウ君がそんなこと考えるはずがなかった。
「……そうね。分かった、ユウ君の言う通り、イイ君を信じることにする」
モニターを元の画面に戻した視界の端を何かが横切る。反射的に目をやると、ゴーレムに向かって無数の何かが飛来していた。目を凝らすとそれは椅子のようだった。
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