第38話 聖樹

 〔せいタンバリン〕 において世界樹はそれ自体がエルフの国 〔セフィロト王国〕 の領地であり、各部にある 〔球〕 はその地方。現実でたとえるなら日本国とその都道府県のようなもの。


 〔きゅう〕 は 〔きゅう〕 とも呼ばれ番号が振られている。



➊ケテル宮……………王都

➋コクマー宮…………魔法学校

➌ビナー宮……………墓地

➍ケセド宮……………病院

➎ゲブラー宮…………森

➏ティファレト宮……砂漠

➐ネツァク宮…………草原

➑ホド宮………………空港

➒イェソド宮…………海港

➓マルクト宮…………生産施設



➊ケテル宮

[世界樹の頂点にある。


 セフィロト王国の女王ラティ・メリアが側近と召使いたちに囲まれて政務をこなす王城と、その城下町がある。


 メリアは原作で主人公のたん りんを現代日本から異世界へと召喚した張本人。このゲームクロスロード・メカヴァースでもNPCノンプレイヤーキャラクターとして存在している]



➋コクマー宮

[ケテル宮の斜め下。


 幹の上部から東に伸びた枝の先に乗っている。


 その内部には数多くの学校とその教師や学生が暮らす寮、彼らを相手とする商業施設などからなる学園都市が広がっている。


 そこは 〔魔法学校〕 の名のとおり魔法を教える場所ではあるが、タンバリン世界で 〔魔法〕 とは 〔学問〕 に等しく 〔魔法学校〕 とは単に 〔学校〕 を意味する。


 そのため実践的な魔法に限らず、あらゆる学問が学ばれ、国を担う人材が育成されている。また研究機関という側面も持つ]



➌ビナー宮

[ケテル宮の斜め下。


 幹の上部から西に伸びた枝の先に乗っている。


 その土地は全て墓。見渡す限りに墓標が並んでいる所もあれば、日本の古墳やエジプトのピラミッドのような巨大墳墓も建っている。


 墓守の他に生きたNPCはいない寂しい場所だが、夜になると死霊、骸骨、ゾンビなどのアンデッド・モンスターが徘徊する。また墳墓には昼夜を問わずアンデッドが出るし財宝もある。


 それらとの戦闘や宝探しで生産アイテムの素材やリングゲーム内通貨を得ようとするPCプレイヤーキャラクターの狩場となっている]



➍ケセド宮

[コクマー宮の真下。


 幹の中央付近から東に伸びた枝の先に乗っている。


 世界樹全体から患者が運ばれる大病院、医療施設が集中している。研究機関の側面も持つ]



➎ゲブラー宮

[ビナー宮の真下。


 幹の中央付近から西に伸びた枝の先に乗っている。


 そこは森、密林、樹海。


 鬱蒼と茂る木々の世界。


 その木の中には樹高200メートルもの巨木(現実では最大でも100メートルほど)も多数あり、その幹のうろや枝の上に建てた家に、エルフが住んでいる。


 また、そうしたエルフの住む巨木が密集する場所では、木々の枝同士が吊り橋で連結されることで樹上都市が形成されている。


 この地のエルフたちは、ロビンフッドのようにとんがり帽子をかぶった格好で枝から枝へと跳びうつり、長弓で獣を狩るし敵も射る、最もステレオタイプなイメージに忠実なエルフといえる。


 木だけでなく、石もすごい。


 高さ200~300メートルもある石柱が林立する、中国・りょうげんのような深山幽谷。ふもととの高低差が1キロメートルある台地、南米大陸はギアナ高地にあるようなテーブルマウンテン。


 ゲブラー宮は、まさに秘境の名にふさわしい]



➏ティファレト宮

[世界樹の中心部。


 幹の中央にあるうろに埋めこまれた球。


 中に砂漠が広がっており、現実世界でやはり砂漠であるアラビア半島の伝承に登場する、人食いの醜い小人 〔食屍鬼グール〕 や、アラジンの魔法ランプの精に代表される火と煙でできた巨人 〔妖霊ジン〕 などのモンスターが出没する。


 この地に住む、やはりアラブ風の衣装をまといアラブ風の町を築くエルフたちは、他所の色白なエルフたちと異なり、黒~褐色の肌をしている。


 他の多くの作品で 〔ダークエルフ〕 と呼ばれる種族の特徴と一致するが、ここのエルフたちは闇属性でも悪しき存在でもない、れっきとしたセフィロト王国のエルフたちの一員である]



➐ネツァク宮

[ケセド宮の真下。


 幹の下部から東に伸びた枝の先に乗っている。


 中は、草原。


 現実の地球におけるユーラシア・ステップのような乾燥した草原。そこに暮らすエルフたちの装いや暮らしも、ユーラシア・ステップの遊牧民をモデルにしている。


 1箇所に定住せずテント状の住居を折りたたんで持ちはこび、馬や羊などの家畜とともに牧草地を求めて草原を転々とする、遊牧民。


 彼らは巧みに馬を走らせながら馬上から短弓を射ることができる、優れた狩人にして戦士──騎馬民族でもある。現実の世界史における騎馬民族と同じく、この地のエルフも武に優れ、王国の軍事力を支えている]



➑ホド宮

[ゲブラー宮の真下。


 幹の下部から西に伸びた枝の先に乗っている。


 地形は荒涼とした岩山、その谷間を流れる川や、その水が溜まった湖など。その湖の岸辺に空港が築かれ、世界樹と世界中とを繋ぐ多種多様な空飛ぶ乗物が途切れることなく発着している。


 もちろん原作の聖騎士タンバリンではそこに登場する有翼馬ペガサスや主人公・丹波 輪が発明した飛空艇しか見られなかったが、このゲームクロスロード・メカヴァースの一部となった今は他の参戦作品の乗物も見られるようになっている]



➒イェソド宮

[世界樹の根もと。


 大地との接点に開いたうろの中に、半ば地中に埋まって存在する。世界樹は海岸線に重なる位置に生えていて、この宮も半ば海に接し、そちら側は海港になっている。


 ホド宮が空飛ぶ乗物が発着する場所なのに対しこちらは普通の船、水上の乗物が発着する。船の大きさに占める輸送量はこちらのほうが多いため、港の規模もこちらのほうが大きい。


 このゲームではタンバリン以外の作品の乗物も見られる点は、ホド宮と同じ]



➓マルクト宮

[世界樹の下端にある。


 幹が地下深くもぐった先──そう、地下に伸びるこの部分もまたであり、ではない。世界樹は逆さまに生えた木、その根はケテル宮を包んで四方に伸びてすぐ上の天蓋へと張っている。


 日の届かない地中にあり、魔法の明かりに照らされたマルクト宮の内部は東西南北に分かれている。


東:浄気場

西:浄水場

南:工業区

北:農業区


 東の魔法装置では地下の空気をよどまぬよう浄化し、西の魔法装置では下水を処理し、南は世界樹で最大の工業地帯、北は世界樹で最大の農業地帯となっている]





「以上です! ご静聴ありがとうございました!」

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