第30話 買い物
窓から灰色一色の空が覗いている。
みーちゃんは、りょーちゃんの鱗を首から下げて電車に乗り街中へ向かう。本屋に行き、気になった本を買い、和菓子屋に入り羊羮を買った。
目的を果たしたみーちゃんは片手に紙袋を持って帰っている。男とすれ違う時にぶつかってきた。
「おいおい。前を見てないのかよ?」
みーちゃんは一瞬、眉間に皺を寄せるが、その後苦笑した。
「すみません。私の不注意だったみたいです。では私はこれで帰らせてもらいます」
動こうとしたみーちゃんに男が腕を掴む。男は笑みを浮かべる。
「このまま帰るつもりなのか? そうは問屋が卸さないぜ。こっち来いよ」
「ちょっと待ってください……!」
みーちゃんは逃げようと抵抗しているが男は手を離さない。それどころか力を込めたようで、みーちゃんは顔をしかめる。
みーちゃんはズルズルと路地へ連れてこられて押し倒される。その上に男が馬乗りした。
「俺にぶつかってきたんだ。覚悟はできているよな?」
男は拳を掲げて振り下ろす時、みーちゃんはギュッと目を閉じる。
みーちゃんの首から下げた鱗が赤く光り、いつもより大きく厳つい、りょーちゃんが出てきてみーちゃんの体に巻き付く。
男は吹き飛ばされて壁にぶつかる。ふらふらと立ち上がり舌打ちをしてみーちゃんを睨みつけた。
「チッ、イッテーなー! なに、しやがる!」
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