第22話 運動会の練習

 みーちゃんは森のいつもの場所でりょーちゃんに声をかける。


「りょーちゃん、来たよ」


みーちゃんは手も振らず、どことなく声も元気がない。その様子にりょーちゃんは首を傾げる。


「みーちゃん、よく来たね。どうかした? 悩み事なら聞くよ?」


みーちゃんは気だるげに首を横に振る。


「なやみごとはないの。ちょっとつかれているだけ」

「何でそこまで疲れちゃったのかな?」

「運動会の練習がたいへんだったの」


みーちゃんの体から力が抜け、切り株に寝そべった。りょーちゃんはみーちゃんの頭を撫でる。みーちゃんは気持ちよさそうに目を細めた。


「それは大変だったね。どんな練習したの?」


みーちゃんはりょーちゃんから目を反らした後、歯切れ悪く言う。


「んーと、しょうがいぶつきょうそうで、ボールを持ってくるのわすれたり、リレーでバトンを落としちゃったりしたの」


りょーちゃんは気にせず撫で続ける。


「そっかー。でも練習だから失敗して大丈夫だよ。本番で上手くやれば良いんだから」


みーちゃんはチラッとりょーちゃんの顔を伺う。だが、いつもと変わらないのでホッと一息ついた。


「そうかな?」

「そうだよ」


みーちゃんの体にスッと力が入り上体を起こした。みーちゃんの目に光が戻り、声も力強くなる。


「練習がんばったら、本番上手くできるね!」

「きっとできるよ。応援してるね」


みーちゃんは頷くとそわそわし始める。何やら何かを期待をしているようだ。


「じゃ、じゃあ、りょーちゃんも運動会来てくれる?」


りょーちゃんは顎に手を当てて、目をつむる。少しして目を開けると答える。


「良いよ。運動会行こう。でも皆に言わないでね。恥ずかしくなっちゃうから」

「うん! 分かった!」


みーちゃんは満面の笑みになって立ち上がりやったー! と叫んだ。

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