第19話 りょーちゃんの力 その二

 みーちゃんの興奮が落ち着くと今度はそわそわし始める。何かを期待しているようだ。


「ねえねえりょーちゃん、他には? 他には何かないの?」

「そうだね、こんなのはどうかな?」


りょーちゃんが念じるとみーちゃんの目の前に小さな水の玉が出来た。そこが中心となってそこかしこから水が集まり大きな水の塊になる。

 みーちゃんはそれに手を突っ込んで本当に水なのかを確かめる。冷たくて捕らえどころのない感覚がしてちゃんと水で出来ているのが分かった。


「本当に水なんだ! 氷じゃないのに丸い形になってる!」

「それはね、風の力で形を保っているんだ。だから風の力を止めるとこうなるよ」


水の塊は型を取ってしてしまったかのように丸い形が崩れ地面に落ちる。

 水が跳ねて辺りに散らばるがみーちゃんの方には水が来なかった。どうやらりょーちゃんが風の力で水を防いでくれたようだ。


「後、ボクが一番得意なのが土の力を使うものだよ」

「えっ! どんなの? 見てみたい!」

「良いよ」


りょーちゃんが手を上げると、少し離れた所の土が盛り上がり小さな山が出来る。


「お山が出来た!」

「まだまだこれだけじゃないよ。見ててね」


その山に小さな芽がたくさん生えてどんどん成長していく。そしてその山は小さな木で覆われ森になった。


「わー! びっくりした! 小さな森になってる!」

「他にもこんな事が出来るよ」


りょーちゃんが地面に手をつけた後に地面を掘り起こすと綺麗な石が出てくる。


「きれいな石だね。これもりょーちゃんが作ったの?」

「そうだよ。この石はみーちゃんにあげるね」

「わーい! たからものにする!」


みーちゃんはりょーちゃんからもらったのがとても嬉しいようで満面の笑みを浮かべている。それを見たりょーちゃんもつられて嬉しくなった。

 そうこうしているうちにもう帰る時間になり、みーちゃんは家に帰る事にした。


「じゃあね、りょーちゃん」

「またね。みーちゃん」

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