第15話 リバーシ その一
りょーちゃんはみーちゃんの言葉に安心したようだ。手をお腹に当ててため息を吐く。
それを見たみーちゃんはニコニコ笑う。お母さんに駄目だと言われてずっとモヤモヤしていたのがやっと終わったのだ。気分は晴れやかになる。
少しの間、一人と一頭は静かになったが決して悪い時間ではなかった。その沈黙を破るかのようにりょーちゃんが話し出す。
「ところで今日はお話しするの? それとも他の事をする?」
みーちゃんはその言葉を待っていた。ウキウキしながら応える。
「今日はね、ゲーム持ってきたの。これであそぼう!」
持ってきた鞄から出したのは携帯用のリバーシだった。何なのか分からないりょーちゃんは首を傾げる。
「これは何なのかな?」
リバーシを知らないりょーちゃんにみーちゃんは自分が教えてあげるんだと意気込む。
「このゲームは自分の色で相手の色をはさむと自分の色に変えられるの」
「ふむふむ」
「たとえばここに黒と白が並んでいるとしたら、黒で白をはさむようにおくと白をひっくり返して黒にするんだよ。自分の色が多い方がかつの」
「なるほど。なんとなく分かったよ」
りょーちゃんがコクコク頷く。みーちゃんはそれを見て手を握って上げた。
「じゃあ、さっそくやろう! こう並べて黒が先におくの。わたしがおくね」
みーちゃんが挟んだ白をひっくり返す。
「ボクはここにしようかな」
パチパチと駒をひっくり返す音が響く。
やがてみーちゃんが両手を上げる。その顔はとても嬉しそうだ。どうやらリバーシはみーちゃんが勝ったみたいだ。
「わたし、かった!」
「負けちゃった。でも楽しいね」
「うん、りょーちゃんとあそぶの楽しい! もう一回やろう!」
みーちゃんの言葉にりょーちゃんはニヤリと笑う。
「良いよ。コツを掴んだから今度こそはボクが勝つよ」
「わたしだって負けないもん!」
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