幼少期編
第1話 0歳の俺
目が覚めた時、俺は大きな声をあげて泣いていた。
「オギャ..オギャーオギャーー」
あれ、俺まだ生きてる。でも何で泣いてるんだ?
「おめでとうございます。元気な男の子ですよ」
そんな声を聞いて再び意識が飛んだ。
***
次に目が覚めた時、俺は見覚えのある顔に覗かれていた。親父とお袋だ。
んじゃ、俺助かったのか?家出なんてするもんじゃないな。一丁前に家出して怪我してこのザマかよ。顔が赤面するのを感じる。
「かわいいわねぇ」
「俺に似たな」
何言ってんだよ。こっちは多分、全身打撲で怪我してて...
ここで、俺はようやく異変に気がついた。
親父たちの顔が違う。それは16歳の俺が知っている顔じゃなかった。若すぎるのだ。そして、次に視界に入った16歳の手とは考えられない、とても小さい自分の手を見て俺は察した。
0歳に戻った、ということを。
***
1ヶ月の月日が流れた。
0歳に戻ったという状況がようやく飲み込め、現在の俺の状況もわかってきた。
どうやら、俺は、16歳の記憶を残したまま0歳に戻ったが、身体機能は0歳と同じであるため話したり立ったりすることはできないらしい。
何となく、どこかの頭のキレる名探偵になった気分だ。
そして、俺はこのセカンドライフにおいて自分の中で1つだけルールを設けた。
「人生を楽しむことができる、バカになる」ということだ。
後悔しながら死ぬという最悪の体験をした俺だからこそ、このルールへの想いは強い。
俺はもう、つまらない人生を送らない。そんな決意を固めながら、赤子独特の眠気を感じ深い睡眠についた。
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