第19話 ワールドダンジョンへ向けて出発

 リークの所持金は現在とんでもない事になっている。

 100万金貨は国王からオークハイキングを討伐した時に貰った。

 1000万金貨は勇者がオークハイキングの盾を購入した時に貰った。

 食費とか色々引いていくと、売り上げ総合金額は1200万金貨くらいとなった。

 

 どことなく計算がおかしい気がするが、リークは腕組みをしてうんうんと頷いた。


「それは今は考えないでおこう」


 リークは大量に武器防具道具装身具アイテムをあの後売り続けた。

 毎回ティーナちゃんが運んでくる道具等、付与スキルがなくなっても、スキルなしでもバカ売れしていた。


 ついに売るものがなくなると、やはりリークは腕組みをして考える。

 幻想ショップには3つの扉がある。

 1つ目が異世界製作所だ。

 2つ目が休憩所だ。

 3つ目がモンスター牧場で、現在モンスター牧場には1体のモンスターもいなかった。


 と言う事はモンスターを捕縛腕輪を使って捕まえる事を優先すべきだと判断した。

 使い方は頭の中に送られてきていた。モンスターをある程度弱らせて触るだけで転送するらしい、転送したモンスターは主に従順になるとか。


「色々と考えていそうだなリーク」


「うん、どこのモンスターを捕まえようかと」


「そうかのう」


 半透明の幽霊ことカナシーが浮遊しながら考えている。


「そうじゃ、ワールドダンジョンなんてどうだ。ダンジョンの中に世界があって、そこには沢山のモンスターがいる。しかし入口が無数にあり、各地の冒険者がやってくる。トラブルなんて当たり前、行くか?」


「行ってみよう!」


「まれに魔族が着て殺し合いなんてあったな」


「恐ろしい事言わないでくださいよ」


 リークはぶるぶると震えるが、本人のレベルは99なので説得力がなかった。

 

「あ、うちも行きます。リークさんが商売している間。カナシーさんに修行させてもらいました、結構強いんですよー」


「頼りにしてるよ」


「では、旅支度といこうか、何を持ってこうかなー」


「カナシーお前は幽霊だから何も触れないぞ」


「……」


 とんでもない現実に今頃気づいたようで、カナシーは真っ青になり、ふわふわと浮遊した。

 風が吹けば飛んで行ってしまうのではないだろうかと思える程だった。


「その前に冒険者ギルドに報告しないといけんのう」


「そうなんですか?」


「お主、今Dランクの冒険者である事を忘れておらぬか、紹介状が必用だぞ、十中八九ワールドダンジョンで馬鹿にされるが、殺すなよ」


「カナシーじゃないんだからー」


「ぬぬ、お主は私に殺されたいようじゃのう」


「すみません、ドが過ぎました」


 リークは頭を下げて謝ると、リークとカナシーとカエデちゃんは旅支度をして冒険者ギルドに向かった。


 闇草の森の1件以来、色々と問題が起きて、なかなか冒険者ギルドに来れた試しがないなぁと思った。


====冒険者ギルド====

 

 冒険者ギルドに到着すると、他の冒険者を驚かせないように、カナシーはギルドの屋根の上へと移動した。

 リークは久しぶりに受付嬢と会う事となる。

 カエデちゃんは登録していないので、別窓口で冒険者登録をしている。


 狼人間で力をコントロール可能と言う事であればCランクは余裕だとカナシーは言っていた。


「お久しぶりです」


「あ、はい、って問題児さんじゃないですか、オークハイキング倒したんですって、ありえないですよーあれSSS級ですよ?」


「いえ、倒しました」


 他の冒険者達はリークがやばい人だと知っているので、うんうんと頷き、笑う事はしなかった。


「幻想ショップ凄いですね、長蛇の列ですもん」


「いえいえ」


「それで、今回は、あ、そうだ。リークさん国王様からとんでもない言伝がありまして」


「なんでしょうか」


 受付嬢は長い髪の毛をさらりと払うと。


「おめでとうございます。世界でも少数しかいないS級冒険者になりました」


「ありがとうございます」


「以外です。びっくりしないんですか?」


「なんとなく分かってましたから」


「そうですかーそれで今回は、何用で?」


「えーとワールドダンジョンに行きたくて、紹介状をお願いします」


「っがは」


 受付嬢は意味不明なうめき声を漏らしてビックリ仰天していた。


「すみません、あなたがDランクだったら止めるのですが、今のあなたはSランクでしたね、1人ですか?」


「そこにいるカエデちゃんもです。来ましたね」


「測定したらAランクでした、カナシーさんの訓練のたまものですー」


「ちょっと待ってください、Aランクですってえええ、今登録したばっかでしょおおおお」


 受付嬢が眼玉でも飛び出るのかと思うほど叫んでいると、大勢の冒険者達がひそひそと話をする。


「う、嘘だろ、あの子、幻想ショップのただの従業員だと思ってたわ」


「信じられない、てか今日登録したんだよな」


「リークが何かやったとしか思えない」


「てめーらそんなひそひそしてんじゃねー」


 おっさんらしき人がまとめ上げていた。


「ではリークさんとカエデさんはワールドダンジョンへの紹介状を書きますので、しばらくお待ちください」


 5分後には書類が出来上がり、リークとカエデちゃんに渡される。


「場所はテルハレム王国の首都の冒険者ギルドの地下にありますので、ご武運を!」


「はい」

「はい」


 2人が頷き、リーク達は冒険者ギルドを出発した。


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