第16話 無事解決したので製作準備

 ハルマドー貴族は地面に何度も何度も両手を当てて悔しんでいた。


「どうするんだ。屋敷が破壊されたぞ、こうなれば国王に直談判して、そこの少年から借金をおおおおお」


 1人の老人が突然現れる。

 何を隠そうその国王だ。

 ちゃんとリークをストーキングしていたらしい。


「おい、そこの爺、我が家宝の絵を踏みやがって」


「ふむ、お主、バカか?」


「なんだとおおお」


「この胸の紋章が目に入らぬかああああ、がはははははは」


 しばらく沈黙するハルマドー貴族とその息子たち。

 2人の顔がみるみるうちに真っ青になっていく。


「すみません、国王様」


「よかろう、で、わたくしに何か御用で?」


 ハルマドー貴族の顔がみるみる内に元気になっていく様子が伺える。

 しかし、リークはくすりと笑っている。

 逆にティーナは真っ青になっている。


「はい、こやつが我が貴族邸宅を破壊しました。国法にのっとってこやつに直させようかと」


「ふむ、それは無理じゃ」


「はへ?」


「こやつはわたくしの相棒でな」


「あ、相棒ですかあああ」


「うむ、金づるでもある」


「金づるううううう」


「そしてわたくしはこやつをストーキングしている」


「ストーキング!?」


「そして、こやつをストーキングした結果、お主の悪行を知っておる」


「なんですとおおお」


「よって、お主を草原村より、いやテルハレム王国より追放する」


「はいいいいいい」


「従わねば、わたくしの魔法が炸裂すると思え」


「ひ、ひいいいいい」


「それと、破壊された邸宅にある家宝とか色々はリーク殿の所持品となるのであしからずじゃ、がははははは、では」


 ぼふんと魔法を使ってルーギャシー国王は消滅した。


「早くこの国から立ち去るぞ息子よ」


「なんでですか、父上、あいつらが悪いじゃないですか」


「違う、あの国王が相棒と認めてるという事は、殺されるぞ」


「はいいいい、ただのガキでしょう」


「現に邸宅破壊したではないか、もっと物分かりをよくしろ息子よ」


「ですがああああ」


 リークはゆっくりと2人に歩み寄る。


「2人ともティーナに土下座してください」


「なんでだ」


「ふざけるな」


「なら殺しますが?」


 13歳の少年とは思えぬ殺気に、2人は悲鳴を上げて、土下座して、尻尾を巻いて逃げていった。

 その光景をリークとティーナはただただ見ていただけで。

 

「これで満足したかい、孤児院には被害はないとは思うけど」


「うん、満足したの、これでゴミ拾いをもっと頑張れる。そしてリークからお金がっぽり貰うの」


「ふふ、それは楽しみだ」


 ティーナと孤児院の問題が解決したと思われた。

 

「モンスター牧場計画は気になりますね」


「それは聞けなかったの、たぶん失敗したんじゃないかしらなの」


「そうですね、ティーナのご両親が生きていれば、成功していたかもしれない、誰かがやってくれるといいんですが」


 リークの呟きは、後程自分に返ってくる事を知らなかった。

 2人が幻想ショップに戻ると、カナシーとカエデちゃんがパニックになっていた。


「どうしたんだい」


 リークが尋ねると、カナシーは瞳をぎらぎらに輝かせながら言った。


「3個目の扉が開いたんじゃ、幽霊だから入れんが」


「カナシーさんはうちに開けろといいますが、怖くて無理です」


「よ、よーし」


 リークの後ろではティーナがワクワクしているのか体が震えていた。

 扉をゆっくりと開くと、そこに広がっていたのは、信じられない光景、いや絶景そのもの。

 世界が広がっていた。


 巨大な看板が置かれてあり。


【モンスター牧場へようこそ】と書かれてある。


「うそ」


 ティーナの瞳からぽつりぽつりと涙が流れる。


「うそうそ」

 

 涙はとめどなく流れて、ティーナは顔をぐしゃぐしゃにする。


「きっとこういうのをティーナのご両親は作りたかったんだよ」


「そうなの」


 カナシーが浮遊しながらにかにかと笑っている。


「はっははは、そういう事か、ここにモンスターを集めて素材を回収するという事か、それなら定期的に回収できるし問題ないだろう、殺す必要もないしな」


「相変わらずカナシーはデリカシーの無いことを言うんだね」


「そういうものだろう?」


 リーク達はモンスター牧場に足を踏み入れた。

 するとリークの頭上に指輪が降ってきた。

 リークはそれをつかみ取ると即座に鑑定していた。


【捕縛腕輪:モンスターを捕縛してモンスター牧場に転送させる事が出来る】


「これは凄いぞ、モンスターを捕縛してこのモンスター牧場に転送させる事が出来るみたい」


「くうううう、最高だ。やはりこのお店は昔からおかしいと思っておったが、幻想ショップとして幻想らしいな」


「それは言えていると思います」


 カエデちゃんがえへんと呟き。

 ティーナはこくりと頷き。


「モンスターを捕まえたら、あたしも触りたいの」


「もちろんいいぞ、安全かどうか確かめてからね」


 ティーナの呟きをリークはちゃんと受け止めて反応した。

 彼女は目を服の袖でこすって涙を拭うと。


「よしなの、がんばって沢山、ゴミを拾うの」

 

 そう言いながら、彼女は幻想ショップからいなくなった。 

 リーク達の眼の前に広がるモンスター牧場と呼ばれる異世界。

 そこは果てしなく世界が続き、山や森や海や川や林がある。

 食べ物も豊富でモンスター達の生活には困らないだろう。


「ただし、肉食系のモンスターの餌はどうするんだ?」


 リークの呟きに、カナシーとカエデちゃんが頷く。

 

 すると森の片隅に動物らしき生き物がいた。それはシカだった。

 つまり、ここには野生の動物が住んでいるという事だろう。


「野生の動物を捕まえて食べるみたいだ。ほっとしたよ、まさか餌を毎回上げないといけないと考えていたんだ」


「それは大変ね、動物がいてくれてよかったけど、動物さん達がかわいそうだわ」


 カエデちゃんが悲しそうに呟き、そこは弱肉強食の世界だから仕方がないとリークは腹をくくった。


 その後リークとカナシーとカエデちゃんは幻想ショップの広場でくつろいでいた。

 すると猛スピードで幻想ショップの扉を叩く音が聞こえて。

 そこには沢山のゴミのようなものをもってきたティーナがいた。


「沢山持ってきたの、お金くださいの」


「ありがとう」


 リークは20金貨支払う、その後ティーナは高速で5回もやってきた。

 その為100金貨支払った。

 沢山のゴミを異次元倉庫にしまう、あとハルマドー貴族の邸宅にあった家宝とやらも沢山回収する事が出来た。


 時間は夕食時、カエデちゃんの絶品料理を平らげたリークは異世界製作所にやってきていた。そこにはカエデちゃんの姿もカナシーの姿もあった。


「さてと、スキルと素材の確認をしようか」


スキル獲得【オークの2100個、貴族の6個、衛兵の600個、ハルマドー貴族の2個、ハルマドー貴族息子の2個、キングジョンの2個】

素材獲得【1050個のオークの角、1個のオークハイキングの角、無数のハルマドー貴族の家宝、無数のティーナのゴミ】


 しばらく開店していない幻想ショップ。

 その幻想ショップの商品が今作られようとしていた。






 


 

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