第15話 天才ゴミ拾いの事情

 3人の雑魚貴族を余裕でフルボッコしたリーク。


「く、くそ、覚えてろよ」

「ありえない、本当にガキなのか」

「嘘だろ」


「デバフ魔法っと」


 リークは容赦がなかった。

 3人の貴族の体がほんわりと輝き、彼等からスキルを盗む事に成功する。

 合計で6個のスキルを盗んだリークはにんまりと頷き、後で整理整頓しようと考えている。


 オークの2100個のスキルと貴族のスキル6個と1050個のオークの角と1個のオークハイキングの角、これらはまだ使用方法を考えていない。


「す、すごい」


 ティーナがこちらを見ておどおどとしている。

 リークはにんまりと口の端を釣り上げると、ティーナの元へと行き。


「事情を聞かせてくれるよね?」


「うん、説明したいんだけど、どこですればいいの?」


「それなら、幻想ショップでしょ!」


====幻想ショップ====


 現在テーブルを囲んで椅子が置かれてある所にカナシーとカエデちゃんとティーナとリークが座っている。


「あのーそこにいる半透明さんは幽霊なのです?」


「うむ、そうじゃ、自己紹介しよう、幽霊のカナシーだ」


「うちはカエデね」


「あたしはティーナです。10歳です」


「では事情を説明してくれ、ティーナ」


「はいなのです。父と母は元々上流貴族だったのです。しかしハルマドー貴族達に嵌められて全財産を奪われましたのです。2人は首を吊って自殺しましたのです。私を保護した孤児院のおばあさんが貴族達に支払いをしていたのです。しかし、おばあ様は腰を痛めて仕事が出来なくてですの」


「一体何で嵌められたんだ?」


「モンスター牧場計画ですの」


「なんだそれは! 凄そうだ」


 カナシーが首を突っ込んできた所を、リークが制するが、半透明な為通り抜ける。


「モンスターを捕まえて牧場で管理するの、その後素材を定期的に収穫するのです。動物牧場のモンスター牧場版だと思ってくださいですの」


「すごそうだな」


「それはすごそうだ」


「父と母はその計画にのったんですけど、モンスターを捕まえる段階で兵士を雇う必要があったの、それをハルマドー貴族に任せたら、お金がすっからかんになったのよ」


「ようは、ティーナの両親はいい奴だったって事だ」


「どんなまとめかたよ」


「いい人だったんでしょうね」


 カナシーの突っ込みに、カエデちゃんがちゃんとまとめる。


「借金はいくらだ?」


「10万金貨ですの」


「なるほど、僕が支払えない額ではない」


「それは確かに、じゃが」


「そうね」


「「「貴族に金は払いたくない」」」


 リークとカナシーとカエデちゃんの声が揃った所で。


「じゃあ、貴族達フルボッコ計画を始めましょうか」


 リークは悪戯小僧のようにワクワクした思考回路をしていた。


「その前に製作を済ませておきたいけど、今はティーナの問題だよな、ふぅ、スキルが次から次へと溜まりそうだ。そのハルマドー貴族の豪邸まで案内してくれ。カエデちゃんとカナシーは幻想ショップで待機してくれ」


「任せろ、この家は私の家のようなものじゃ」


「お掃除や料理作ってまってますね、リークさん」


「よーし」


「本当にリーク1人で大丈夫なの?」


「ああ、基本大丈夫だ。じゃあ行くぞ」



====ハルマドー貴族====


 ハルマドー貴族邸宅は草原村を出てしばらく草原地帯を歩くと見えてきた。

 とても広い邸宅であり、多くの兵士達が警護していた。

 ざっと300人以上くらいだろう。


 リークとティーナは堂々と門の前に到着する。


 しばらくすると1人の貴族男子がやってきた。

 見るからにぼんぼんの小僧という感じだった。


「久しぶりだな、ティーナ、そこの少年は護衛かぷぷ、あまりにも可笑しいな、さて、金貨は出来たか? 10万金貨だぞ、できないな、なら孤児院を売り払うか、子供達を奴隷にするか、どうせお前は……」


「金なら持ってきた」


「はいいいいい、お前には聞いてないんですけどおおおお」


 リークは指パッチンすると、空間から10万金貨が現れる。


「う、うわあああああああ、嘘だろおおおどうやって持って帰れば」


 リークは再び指パッチンするまでもなく、異次元倉庫にしまう。


「か、金が消えたああ」


「とりあえず、お前の親父にでも合わせろ」


「分かったよー10万金貨かーいっぱい遊べるぞー」


 るんるん気分でハルマドー貴族の息子が邸宅の中を案内してくれた。

 階段を上ったりして、3階の所で赤い扉に到着した。


 ぼんぼん息子が扉を開けると、豪華な椅子に座ったちょび髭を生やした男性がいた。

 衣服は貴族らしく沢山の宝石を飾らせており、麻布の立派な物で作られた服だった。


「おお、ティーナではないか、ちゃんと約束の金を持ってきたのか持ってきてないだろう、だから孤児院を売れと言っているまたは子供達を奴隷に……」


「父上、こいつらお金を持ってきました」


「な、なんだとおおおおおおお」


「とりあえずデバフで」


「ぐおおおおおお」

「ばあああああ」


 ハルマドー貴族とその息子のスキルを4個手に入れる事が出来た。

 貴族関係から奪ったスキルは現在10個となっている。


「あ、あれ、す、スキルがない」


「何をしたああああ、そこの少年、吾輩たちに何をしたのじゃあああ」


「さぁ?」


「体がだるいではないかあああああ」


 ハルマドー貴族は地団駄を何回も踏んだ。

 残念だが貴族邸宅はそんな事では揺れる事はなかった。


「今からこの貴族邸宅を破壊します。ティーナから奪ったお金と両親から奪ったお金返さない限り破壊します」


「ふははははははは、少年如きが破壊出来る訳が無かろう、先程からお前にちゃっかりついてきた白い犬と黒い猫が目障りだ。お前ら殺してやれ」


 そういうと物陰から大勢の兵士がわらわらと出てくるのだが。


「アンクレイサーランクレイサーよろしく頼むよ」


 白い犬が光、黒い猫が光る。


「わん」

「にゃあ」


 右手にはアンクレイサーの斧、左手にはランクレイサーの槍が握られていた。

 

「な、なんだあれは、見た事がないぞおお、とにかく捕まえろおお、変身する犬と猫は高く売れるぞ、あいつ何者か知りたい、お前鑑定もちだな、鑑定しろ」


「は、はいいいい」


 1人の兵士がどうやらリークの事を鑑定しているようだ。


 次の瞬間、その兵士は尻餅をついて、後ろに下がるようにした。


「あ、ありえない、ありえないありえない、あ、あいつのスキルがやばいのと、あと一番やばいのが、あいつは、あいつはレベル99です」


「なんだとおおおおお、ぐぬんう、だが、少年は少年だ。大人に勝てる訳が……」


 兵士達の悲鳴が轟く、なぜならリークがアンクレイサーとランクレイサーを振り回すだけでの風圧で兵士が吹き飛んでいくからだ。


 リークは【スキル:破壊武人】を使用している。

 その圧倒的な力にレベル99の力の作用が働く。

 豪勢な壁、動物のはく製が飾られており、宝石が散りばめられたりしている。


 容赦なくアンクレイサーで粉々に吹き飛ばす。


「や、やめてくれええええええ」


 ハルマドー貴族が悲鳴をあげる。

 ティーナは物陰に隠れている。

 今の所誰も気づいていない。


「あいつを呼べ、キングジョンを呼ぶんだ」


「へい、何用で」


 そこに現れたのはピンク色の兜をかぶってピンク色の鎧を着こなした。男性。

 顎鬚はたっぷりで、無骨で獣みたいな男性。

 

 右手には剣が握りしめられており、左手には盾が握りしめられている。


 リークは即座に鑑定を発動させる。


【キングジョン:レベル40:【冷静沈着】【武宝技】】


 キングジョンは歩く。

 こちらにやってくると他の兵士達は下がり始める。


「おい、少年、いいか、俺はなスキルで生きてきた男だ。冷静沈着というスキルがあるから生きていける。武宝技ってのはな宝を装備してると強くなるんだぜ、俺はこのスキルがあるからつえええ、ふ、かかってきな」


「デバフ発動」


「いいか、あれ、力があれ、スキルねーし、ちょ、まってく、ええええええええ」


 リークのアンクレイサーの斧で吹き飛ばされるキングジョン。

 彼は冷静沈着のスキルを奪われて、最後は冷静沈着ではなくなっていた。


「うそだろおお、キングジョンがやられたあああ」


 次から次へと兵士達が後ろに向かって逃げ始める。


「殺さないけどデバフだけね」


 全ての兵士、300人にデバフを発動させる事も忘れない。

 全身から力を失って、さらにスキルを失って、兵士達は取り合えず逃げていった。


 リークはふうと後ろを振り返ると、小便を漏らしてこちらを指さしているバカがいた。


「では、約束通り、破壊して回ります」


 ハルマドー貴族邸宅の建物を次から次へと破壊する。

 まるで壁はクッキーかと思える程サクサクと壊す。 

 その度にハルマドーは叫ぶ。息子は痙攣してこちらを見ている。


「だから、金は全部使っちまったんだよおおおおおお」


「そうか、破壊しよう」


「まってくれえええええええ」


 ハルマドー貴族の叫び声はむなしく。

 10分後にはハルマドー邸宅は瓦礫となり、瓦礫の上で立ち尽くすティーナはくすくすと笑っていた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る