第10話 鑑定を盗め

 現在リークは堂々と商売人ゴンザレスがいる小さなお城のような所にいる。

 リークの下準備として。

===指輪======

2の指輪=敏捷×100

3の指輪=跳躍×100

4の指輪=回復×100

5の指輪=吸収×100

6の指輪=鬼化×100

7の指輪=斧術×100

8の指輪=槍術×100

9の指輪=豪気×100

10の指輪=破壊×100

===========


 を装備している。1の指輪だけは装備していない、これには理由があり呪いの指輪を外す事が出来ない体。


 リークは堂々と歩く。

 大きな門に到着するとコンコンとノックする。

 兵士が1人出てくると。


「おい、ガキ、お前何の用ってえええええ」


 リークの小さな体。

 見るからに13歳の少年。

 彼は右手だけで大人の腰を掴み持ち上げ、思いっきりぶん投げた。

 それが戦いの合図だとして始まった。


 リークは拳で鋼の城門をぶち壊した。


「ええええええええええええ」


 兵士は唖然としている。

 指輪の力は絶大であった。

 リークが走り出す。

 とてつもないスピードに兵士が1人また1人と首を殴られ気絶する。

 力加減が難しいのが難点である。

 間違えれば首が落ちかねない。


「弓兵、あそこのガキを押さえろおおお」

「速くしろおお」

 

 四方から矢が飛来する。

 服の中で隠れていたのは白い犬と黒い猫。


「力を借りるよ」


 一瞬で、そこに存在していなかった斧と槍が出現する。

 まがまがしい光を発しているその武器を高速で扱うリーク。

 もはやその手さばきは達人そのもの。


 なぜなら、槍術×100と斧術×100があるから。


 ぶんと槍を振り上げれば風圧で矢は落下する。

 兵士が盾で四方から抑えこもうとすると、斧で盾ごと粉砕する。

 兵士達の唖然とした顔にリークは笑いそうになりながらも。


「はやく、鑑定が欲しいな」


「お前はどこまでスキルジャンキーなんだ」


「だってさ、カナシーあんなゲスに鑑定スキルはもったいないよ」


「それは分かるんだが、お前がそう言うとお前も怖いわ」


「はは、そうかな」


 リーク笑いながら敵を葬る。

 リークカナシーと談笑しながら敵を粉砕する。

 リーク空を見ながら笑いながら歩く。


「ぎゃああああ、あいつ化け物だあああ」


「た、助けてくれえええ」


「デバフ魔法使おうと」


 その時100名の人間が体の不調を訴える。

 後で聞いた話だと【いやーあれは変な感覚でねー気づいたらスキルがすっからかんなのよ】それが兵士達の言葉となる。


「うお、凄いスキルの数。1人2個だから、200個も来たよカナシー」


「さすがスキルジャンキー、中身は後で調べろ」


「あったりまえよ」


 ちなみに残った50名の兵士はふらふらしている。


「戻っていいよ」


 白い犬とのアンクレイサーと黒い犬のランクレイサーになると。 

 ふらんふらん状態の兵士をぶちのめして、巨大な城に入る事になった。

 中には数十名の奴隷がいた。


 商売人ゴンザレスはその中の子供の首にナイフを当てていた。


「やっぱりか、危機感スキルが働いたから人質を準備しておいた。さっき見たぞ、犬と猫を武器にしていたな、それをよこせ、金になるからな、お前にはもったいないぞ、リークさんよ」


 ゴンザレスは下品な笑い声をあげる。


「人質とは卑怯な」


 カナシーがそう告げるが。


「あ、いいですよ、アンクレイサーランクレイサー行っておいで」


「にゃ」

「わん」


「これで金持ちに……ぎゃあああああ」


 犬と猫を乱暴につかもうとした時。

 リークのデバフ魔法が発動。

 それと同時に鑑定と危機感を盗む。 

 リークは聞き逃さなかった。商売人ゴンザレスが危機感と言った事。 

 なのでこちらの思惑に感づかれる前にデバフ魔法を発動させる。


 それと同時にアンクレイサーとランクレイサーがゴンザレスに触れられる。

 電気ショックのようにばりばりと音を発して、爆発した。

 ゴンザレスは後ろに吹き飛びぴくぴくと動かなくなった。


「なるほどな、そういう事か、主以外に所有権を渡さないとはこういう事かのう」


 カナシーがそう言いながら。


「もう大丈夫だよ」


 リークが子供達にそう告げると、子供達は涙を流した。


「とりあえずっと」


 奴隷達を逃がすと、彼等は自分の村に戻っていった。

 一応、ゴンザレスに襲われた村は生き残りがまた運営している。

 ここから近いので大丈夫だとして、このままではリークが反逆者として国に罰せられるので。


 商売人ゴンザレスの不正の書類を片っ端から集める事に。

 危機感スキルが発動して、これは危機だと思う物を集める。


「危機感スキルって使えるね」


「そりゃー使えるわよ」


 カナシーが笑いながらそう言っていた。


「凄い書類の数だね」


「このデブはどれだけ不正を働いたんだか」


「おい、起きろゴンザレス」


「は! こんな事していいのか、国に訴えればってそれは」


「あんたの不正の記録だよ」


「えええええええ」


「条件がある」


「はいああ」


「無一文で旅に出ろ、戻って来るようなら国にこの書類を見せる。わかるね?」


「は、はいいい」


「打ち首、いや拷問だろうなぐひひ」


「ひいいい、って幽霊いい」


「私は幽霊だぞ、お前が悪い事をしたらすぐに分かるからな、お前が奪ったお金や稼いだお金はお前が攻撃した村に渡す。じゃあ、さよなら」


「そそんなあああ」


「じゃあ殺される?」


 リーク残酷な笑み。


「や、やめておきますうううう」


 商売人ゴンザレスは血相を抱えて逃げていった。


 兵士達もその後ろに従って逃げていく。


「さてと、なんであの子だけ牢屋に入れられてるんだろう」


「そりゃー狼人間だからね」


「……」


 リークは考えながら。


 とことこと歩いて牢屋に辿り着く。

 屋敷の中に牢屋があって、まるで見世物小屋のようだった。

 頭には2つの耳がついていて、獣人族だと分かる。

 だが一般の獣人族と狼人間は違う。

 

 狼人間は定期的に生きた獣を食わねばならない。

 獣人族は普通に生きれる。


 だがその子は女の子で。

 ずっとこちらを見ている。

 ぼろぼろのワンピースを身に着けて、眼にはクマをつくっていた。

 お腹がすいているのかぐーぐーとなっている。


「君大丈夫」


 それは錯乱状態だった。


「獣もってくるかい?」


「いらない、獣食べない」


「なんでだい?」


「獣は可愛い、食べたら可哀そう」


「君は生きた獣をどれくらい食べていない」


「ずっと、こっちに来た時から、こっちに着たらこの体になってた」


「まさか!」


 カナシーは目をまんまるくして。


「別の世界からきたのか?」


「そう、車があってビルがあって飛行機があって、こっちに着たら獣を食べるように言われた。でもウサギとか犬とか好きだから食べない、頭がおかしくなりそう」


「どうやら異世界からきた来訪者だな、それも憑依型で、あちらの魂がこちらの肉体に憑いたという感じじゃ」


「すごいね、本当にいるんだ」


「じゃあ、生きた獣を食べないで済む方法をみつけよう、家族は?」


「こっちの家族は全員殺された」


「そうかーなら僕の所にきなよ、きっと楽しいよ」


「お、お、もしろそう」


 そう言って狼人間の彼女は気絶した。


「早くしたほうがいい、ハイヒールをかけるのじゃ」


「分かった」


 リークは牢屋を開けると、ひたすらハイヒールをかけた。

 体の傷はみるみる内に治療されていき、彼女はゆっくりと目を覚ました。


「頭が透き通るようで考える事が出来る。これなら獣を食べなくても」


「なるほどのう、お主のハイヒールには欲求を抑える力があるらしい、あ、もしかしたら、浄化の指輪を装備してやってみろ」


「その手があったか」


 リークはそう言われて、浄化の指輪を装備してハイヒールを行った。


 少女の顔がみるみるうちに明るくなり、眼の下のクマはなくなっていく。

 頬の色がピンク色に輝き始めて、うっすらと唇が赤くなる。


 心臓がゆっくりと動いているのか体がこくんこくんと脈売っている。


「わああああ」


 眼は輝きだす。


「信じられん、狼人間の欲求を浄化しよったわこやつは」


「これもデバフの力が作用しているのかもしれない、よく分からないけど。僕もわからないけど、とってもとってもよかったぁああああ」


 リークはなぜか涙を流して喜んでいた。


「お兄ちゃんはリークさんですね、うちは山倉楓、カエデと呼んでください」


「じゃあ、カエデちゃん帰りましょうか」


「はい!」


 その日新しい従業員が加わった。

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