第8話 幻想ショップ開店

 リークとカナシーが作り上げたアクセサリー。

 そこに上級回復ポーションが加わる。

 上級回復ポーションは全部で50個程あるので1個1金貨として売り出すことに。


 お客さんはやはり来ない。

 なぜかというと、この幻想ショップには幽霊がいるから。

 困りはてたリークは考える。


 だがお客さんは来た。

 ごろつきどもだ。

 それも3名。


 リークはにやりとほくそ笑む。


「お客さん外行きましょうか」


「んだと、金をだしやがれ」


「金ならだしますよ」


 リークは破壊のアクセサリーを装備して、実演販売に出る。


「みなさーん見てください」


 リークの声に大勢の通行客がこちらを見る。

 そしてごろつき共もだ。


 現在リークは指輪を装備していない。

 していたらごろつきどもは即死する。


「これがスキル破壊を付与したアクセサリーです。どのくらいの強さかこのごろつきどもを倒して見せましょう、この通り僕は13歳の少年です。どうあがいても大人で屈強なごろつきには勝てませんよね?」


 通行客たちはうんうんと頷き。


「しかーし、この破壊のアクセサリーがあれば、拳一発で撃沈して見せましょう、この商品は1個でとてつもなく高い80金貨です」


 通行客からブーイングが上がる。


「しかしそれだけの価値があるのです。さぁかかってきなさいごろつきども」


「こんのクソガキがああ、さっさと金だしやがれええ、幽霊が出る幻想ショップなんて幽霊ショップで十分だああああ」


 ごろつきの拳が飛来するのと同時にリークは体の中にあるスキルを意図的に使用不可にする事が出来た。

 

 純粋に破壊のアクセサリーだけの力を作動させたという事だ。

 ごろつきは円を描いてくるくると回転して川に落ちていった。


 リークは拳を突き上げてにんまりと笑う。


「これが破壊のアクセサリーです。幻想ショップではスキル付与系のアクセサリーと上級回復ポーションがあります。さぁ、買ってください」


「るせー俺らを忘れたのか」


 残り者のごろつき2名がこちらに向かってくる。

 ちなみにデバフ魔法は発動させていない。


「うらああああ」

「こんのおおお」


「次にお見せするのはこの敏捷のアクセサリー、このアクセサリーがあればあらまぁ不思議」


 リークの体がとてつもなく速いスピードで移動を開始。

 即座にごろつきの背後を取る事に成功する。


「さらーに跳躍のアクセサリーを使えば、遥かな高見までジャンプする事が出来ます。あそこの家にだって行けます。天井裏に忍び込んで子供にプレゼントを上げる事だってできますよー」


 リークの体が隣の家の真上に着地した。

 そしてそのままジャンプすると、かかと落としの容量で破壊のアクセサリーが発動した。


 ごろつきはなんとか避けたが、地面が破壊され、陥没した。


「ひ、ひいいいいい」

「たた、助けてくれえええ」


 ごろつき2名は逃げていった。

 通行客達は拍手喝采を浴びせてくれた。


 かくして通行客は大量の行列となり幻想ショップに押し寄せてきた。

 リークは慌てて幻想ショップに戻り商売を始めた。

 その間カナシーは異世界製作所にこもっていてくれた。


 人間がいかに幽霊が怖いかと言う事を、彼女は理解してくれているようだ。

 お客さんは次から次へとスキルを付与したアクセサリーと上級回復ポーションを購入していった。

 あっという間に全ての商品が売り切れてしまい、手元には2450金貨が集まった。

 これならアクセサリー1つ90金貨でも良かった気がするが。


 そこはリークの気持ちが許さなかった。


「す、すごい」


 眼玉が飛び出そうな金額だ。

 なぜなら100金貨でもものすごい額だという事。

 リークは呪いの指輪の異次元倉庫を展開して貴重な2450枚の金貨を保管した。

 ちなみに10個のスキル付与した指輪は使ったが、一気に装備できるのは9個のみで、入れ替えたりしながら戦う予定だ。


 呪いの指輪は残念ながら外す事が出来ないのだ。

 現在の合計金額は2700枚金貨という事になる。

 500枚金貨があれば斧と槍を造る上出来のインゴットを手に入れる事が出来る。

 インゴットとは鉄や鋼などを固めた四角い素材だ。


 その時扉がゆっくりと開かれた。


「すみませんねぇ、しまっちゃいました?」


「いえ、全部売れ切れておりまして」


「そうですかぁ、それは残念です。そうだ。商売の話に着ましてね」


 ちょび髭を生やして、お腹がでっぷりと太った貴族商人みたいな男性がこちらを見ていた。

 豚のようだと形容できるし、どことなくずる賢いイメージをもった。


「いやね、あなたがどうやってスキル付きのアクセサリーを手に入れたか気になりまして、教えてくれたら、奴隷でも売ってあげましょうと思いましてね、くひひ、失礼、私は商売人または奴隷商人のゴンザレスという名前でしてね」


「はぁ、それなら断ります」


「え、奴隷ですよ、奴隷欲しくないんですか?」


「いえ、いりませんから」


「そうですか、鑑定でも発動してあなたの力を見て見ましょうかね」


「やめた方がいいと思いますよ」


「ふひひひ、へ、ぎゃああ、ありえない、その数のスキルって、なんだそりゃああああ、意味が分からないよおおおおお」


 商売人ゴンザレスはリークの見てはならないものを見てしまったようだ。

 彼は腰を抜かしてその場を立ち去った。


「まったく、面倒くさい者に目を付けられたな」


「まぁ、そういうのは仕方ないですよ」


「次もまたくるぞ、それもしつこくてねちねちしたやつでな」


「はぁ、でもさ、あの人の鑑定スキル欲しいな」


「まったく、リークのスキル欲求は果てしないな」


「どんなスキルでも欲しいと思うのは当然だろう?」


「まぁよい、インゴット買いに行くぞ、昔世話になったひ孫の鍛冶屋がある、行くぞ」

「はい」


 奴隷商人のゴンザレスという危険因子と出会い。

 次は武器となる斧と槍の為、上出来のインゴットを買いにカナシーの遥か昔の知り合いのひ孫に会いにいった。

 

 外はゆったりとした気候で、生暖かい風が吹いていた。

 鍛冶をするには最悪な気候だなとリークは思った。



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