第5話 闇草の森

 現在リークは冒険者ギルドに到着していた。

 リークの腰には鉄鋼の剣が握られている。

 D級になった事で1人で闇草の森に行く事が可能となっているが、クエストを受けた方が二度おいしい事をリークは知っている。


 いつも通り受付嬢の所に行こうとして。


「君は冒険者ギルドの屋根の上で待っててくれ」


「いいじゃろう、私が中に入ると、中で大パニックになるからのう」


「お願いしますよ」


 リークは軽く頭をさげつつも、受付嬢の所に向かった。


「今日は忙しいですねリークさん」


「はい、クエストを受けたくて」


「大丈夫ですか? 先程トロール討伐に向かったばかりではありませんか」


「大丈夫です。クエスト板見てきますね」


「頑張ってくださいね」


 受付嬢の笑顔を受け、大勢の冒険者のドスの聞いた殺意を受けていた。

 

「じゃあ、これとこれとこれとこれと、うーんこれもだな」


 リークはクエストの紙を片っ端から引っぺがす。

 次の瞬間冒険者達が爆笑していた。


【【【ぎゃはははははははは】】】


 リークは笑い声など気にせず。

 受付嬢の所にクエストの紙を渡した。


「えーと、えええ、えええええええ」


 受付嬢唖然。


「スライム討伐に、ウルフ討伐に、トレント討伐に、ゴブリン討伐に、リザードマン討伐に、オーガ討伐ですか、てか全部やるんですか、時間かかりますよ、見積もりで1週間は待ちましょう」


「はい、たぶん、いや、なんでもありません、行ってきますね」


「報酬は討伐した個体で決まります。素材を取ってきてください、素材は冒険者ギルドに売るか自分で所持する事が可能です」


「じゃあ、全部自分で所持します」


「ええええええ、駆け出しは売るんですよ大抵」


「そうですか、僕、お店開く予定なので」


 受付嬢は唖然と口を開きっぱなしにしていた。

 リークはにこにこと微笑みながらゲラゲラと笑い転げている冒険者達を尻目にしながら、冒険者ギルドを出た。


「それにしても、あいつらえげつの無い笑い方じゃのう、私が出て行って驚かしてやってもいいのじゃよ」


「それはやめておいた方がいい、彼等は二度と冒険者ギルドにこれなくなるから、ふふ」


「それは言えてるな、リーク、それは受ける、ははは」


 ちなみに周りの人から見たら、幽霊と会話している幽霊に憑りつかれた少年にしか見えない。

 ほぼリークから迂回する人達ばかり。

 ごろつきも通りがかってリークをからかおうとした冒険者も。

 皆リークを避けて歩いていた。

 バカにする事もなく。


====闇草の森====


 闇草の森。

 闇のように鬱蒼と広がっている森。

 沢山の闇色の草が生えており。沢山のモンスターの群生地。

 D級になった人は大抵この闇草の森にやってくる。

 彼等はここでレベルを上げて強くなっていくのだ。


 ちなみになぜかレベルが上がっていた。

 あの実況がうるさすぎて気づかなかったようだ。


「なんでレベル上がったんだろうか?」


「ああ、それはな、破壊と製作と錬金を行ったからね、そうすると経験値が入ってレベルが上昇するんだよ」


「なるほど、今レベル22になってるけど」


「最初は一気にあがるからね、うんうん、いいねー」


「お、あれがウルフだね」


 ウルフが1体こちらに向かって走り出した。

 どうやらこちらに気付いたようで、白い毛皮をしており、牙は鋭く、大きさは犬の2倍程くらいだ。

 

「じゃあ、デバフっと」


 ウルフは訳の分からない顔をしてこちらを見ており、体が重たくなったようだ。

 2個のスキルを習得した。

 リークはとてとてと不自然な走り方をして、ジャンプして鉄鋼の剣で斬った。

 斬る前までがド素人そのものなのに、斬った後はほぼ達人級になり。

 ウルフは一刀両断され死体となった。


「死体の素材を取るのが面倒なので、これを持ってきましたー」


「って、破壊のハンマーもってきたんかいいいいい」


 カナシーは思わず突っ込んでいた。


「なんとなくだけど、これで死体を叩くと、実況は聞こえないけど」


「な、なんとおおおおお」


「素材だけになりましたああああ」


「破壊のハンマーにこんな使い方があったのかかああああ」


 カナシー唖然、リーク笑う。


「ウルフの毛皮っとさて、これでいちいち解体しなくて済むぜ、ただ破壊のハンマーが重たいから、解体スキル欲しいなー」


 ハンマーを隠すようにして装備するリーク。

 それではカナシーも気付けなかったようだ。


「じゃあーいっくおー」


 リークはばっさばっさとウルフをぶっ殺しては破壊して、ぶっ殺しては破壊してを繰り返す。もちろんデバフ魔法を炸裂させ、弱体化させる。

 もはやチート級のせこい狩り方。

 いつしか1時間が経過していた。


「ふぅ、ウルフの毛皮は200個集まったけどいいか、レベルも30になっちった。じゃあ次いっくおー」


 次のターゲットはスライム。スライムは対象に張り付き溶かす恐ろしいモンスターだ。

 核を狙えば倒せるが、リークはデバフ魔法の中を発動。

 周囲にデバフ魔法が炸裂し、スライムが勝手に自壊していく。


「どうやらデバフ魔法に耐えられなかったようだのう」

「よーし次から次へといっくぞー」


 スライムの核を200個集めると、次は、トレントを探す。

 トレントは木のような形をしたモンスターで以下略。

 全部デバフかけて、ぶち殺して、破壊して素材を集めて。


 次はゴブリン、ゴブリンは小鬼のような姿だけど、ごろつきより弱いのでデバフかけて破壊して素材集めてを繰り返す。


 リザードマンはトカゲのような人間の戦士で。片っ端からデバフかけて破壊して素材集めてを繰り返す。

 

 最後のオーガはトロール級に強いので、と思ったけど雑魚でした。

 デバフ掛けたら最強じゃんとリークは思って、オーガ引きを始める。

 オーガを引き連れて、沢山オーガを集めたらデバフを発動させて、ぶっ殺して破壊して、素材を集める。


「ふぅ、終わったけど、これどうやって運ぶんだ」


 そこには素材の山。


====素材====

ウルフの毛皮×200

スライムの核×200

トレントの枝×200

ゴブリンの角×200

リザードマンの鱗×200

オーガの角×200

====スキル====

【粘液】×200

【浄化】×200

【敏捷】×200

【跳躍】×200

【回復】×200

【吸収】×200

【鬼化】×200

【斧術】×200

【潜水】×200

【槍術】×200

【豪気】×200

【破壊】×200

===========


 リークは素材の多さにもビビっていたが、スキル一覧の多さにもビビっていた。

 スキルの数が果てしなくやばい数なのだ。


 ちなみに木を人差し指でつつくだけで、大木が折れました。

 破壊スキルが200個集まるととんでもない事になるなぁと思いつつ。

 

【レベル50】

 

 ちなみに現在のレベルは50となっている。

 少しだけ強くなりすぎた気がするが、まぁ気にせず。


 カナシーはふふんと笑うと。


「お主に超絶素晴らしい呪いのアイテムを授けよう」


「それは喜んでいいのか?」


「この呪われた異次元倉庫指輪だ」


「名前がなげーよ」


「一度装備したら死ぬまで外せない最高な指輪でな、私が死んでも所有者となっている恐ろしい指輪、外す方法は死後所有権を渡す事だ」


「死後ってどうなんのよ」


「だから、所有権を渡そう」


「僕の意思はああああ」


 既にリークの右手の人差し指には指輪があり。


「それ回収と呟いてみろ」


「はい、回収」


 山積みになっていた素材が全て回収された。


「凄いですね」


「さぁてと、冒険者ギルドに戻って驚かせてやりな」


「だから人の話を聞けえええええ」


 リークとカナシーはとりとめのない会話をしながら、冒険者ギルドに戻る事となった。

 現在夜の11時。

 狩りを始めてから数時間。


 冒険者ギルドの冒険者達はリークが出現するのを見て、きっと失敗したのだと笑いそうになり、次の瞬間……

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