第2話 幻想ショップの始まり
草原村に戻ると、大勢の村人が無事リークが帰還した事を喜んだ。
しかしリークが運んでいた人力車の中身を見て村人達は悲鳴をあげた。
「う、うああああ、冒険者の死体だぞ」
「リークが死体を持って帰ってきたぞおおお」
その叫び声で、冒険者ギルドの人達が慌ててやってきた。
「どうしたんですか、それは、ひどい」
受付嬢の女性が口を覆っていた。
死体はなぜかもの凄く腐っていた。
リークの脳裏で慌てて思考が始まる。
(つまり、デバフだから体を弱らせるだから、つまりつまり、腐らせて軽くさせた?
じゃあ木々とかも腐らせた? いやいや、どうなってるの?)
リークは深呼吸しながら冷静になりつつも。
「先程、トロールに襲われて天命の里のパーティーメンバーは全滅しました」
「それで、トロールは?」
「彼等が必死に戦い、弱った所を僕が殺しました」
「それは凄いわ、死体は?」
「あっちです」
受付嬢の人が他の冒険者に合図をすると、他の冒険者達が走ってあちらへと走っていった。
「でも、なんで、こんなに死体は腐っているのかしら、防具や武器は軽くなってて耐久力が落ちてる感じだし」
リークは心の中で一大事だと思いつつも。
「彼等には家族はいませんし、武器や防具や道具はあなたが受け継ぎましょう、そういう決まりですから」
「はい」
「そう、分かったは、先程冒険者がトロールの死体を発見したというテレパシーのスキルで教えてくれたの、おめでとう、報酬を渡す事が出来るわ、冒険者ギルドにようこそ、そして、Dランク昇格おめでとう」
「あ、はい、有難うございます」
冒険者ギルドの制服を纏いぴしっとスカートを決めているお姉さん事受付嬢に頭を下げた。
2人は冒険者ギルドに入ると、他の冒険者がこちらを伺っていた。
ひそひそと話をしているのが聞こえる。
「信じられないぞ、あのリークがトロールを倒しただと」
「どうせ卑怯な手を使ったに決まっている」
「それが本当だとして、卑怯が通用する相手なのかトロールは?」
「だとしても信じられないわ」
冒険者達がそれぞれひそひそと話をしていたのを聞き耳を立てずとも聞こえてきた。
「ごめんなさいね、リーク君に興味を持っているのよ、さて、今回の報酬はとても大きいの、パーティーメンバーで倒さないといけないし、メンバーで分割するのを1人に与える訳だから。100枚の金貨よ、1枚の金貨で剣が買える、10枚の金貨で馬車が買える。50枚の金貨で小さなお店を買えるわ」
「凄いそんなに、モンスター討伐って儲かるんですね」
「でもね、今回のように死んでいく人達がいるのよ」
「それは、辛い仕事です」
「そして、D級からは雑用ではなくモンスター討伐クエストを受ける事が出来るわ、最初は【闇草の森】がおすすめね」
「分かりました」
「では受け取りなさい」
リークは100枚の入った金貨の袋を受け取った。
それを背中にしょっているリュックに入れると、冒険者ギルドから出た瞬間。
男3人に囲まれて路地裏に連れ込まれた。
「おい、聞いたぞ、金貨100枚だってよこせ、どうせ雑魚なんだろ、まぐれで倒したんだろ」
リークは彼等を怯えているふりをしながら見て、にんまりと笑った。
デバフ魔法を発動させていた。
「あれ、力が」
「脱力感がする」
「だるいぞ」
そして彼等は悟る。
「お、おれのスキルがない」
「おい、まじかよ」
「どうなってんだ」
リークは軽く1人の男の膝を蹴った。
バキッと嫌な音を立てて反対に折れ曲がった。
「ぎゃああああああ」
「な、何が起きてる」
2人の男が慌てて、こちらに殴りかかる。
だがリークは右手と左手だけで、拳を掴むと、握りつぶした。
グシャリと嫌な音を立ててトマトを潰すかのように血が噴出した。
「お、おれの手がああああ」
「あがああああ」
「これで分かった?」
「ご、ごめんあさいいいい」
3名はもがき苦しみながら動けなくなった。
リークはにこにこと立ち去る。
今回盗んだスキルは。
====習得スキル====
【力鼓舞】
【遠吠え】
【魔力強化】
【炎魔法】
【囁き】
=============
「さて、どうしようか、お店を購入して幻想ショップを始めよう、なんでも売れるようにしたいし、今回得た武器や防具は後で送られてくるし、いいねーたのしいねー」
リークはるんるんと歩いていた。
向かった先は店ショップだった。
店ショップではお店を売りに出している。
中に入ると険しい男性が椅子にすわってこちらを見ていた。
リークは恐る恐る入ると、男性が頷き。
「で、なんのよう?」
「えーと小さな店を買いたいです。50金貨で」
「ふむ、先程トロールを倒した少年とは君か」
「そんな所です」
「ふむ、1軒開いているぞ、そこなら結構よい立地だ」
「ならそこでお願いします」
「ただ。そこには女性の幽霊が出るがいいか?」
「ちょっと迷いますけど大丈夫です」
「そうか、これが鍵だ。金をよこせ」
「はい」
袋から100枚の金貨のうち50枚の金貨を渡した。
いかめしい顔をしていた男性は天井を見て頷き、鍵を渡してくれた。
「場所は商店街の所だ。行けば分かる。とても立派な所だ」
そしてリークはたどり着く。
ぼろぼろでもなく綺麗でもない。
立派なお店。
ここを幻想ショップと名付ける。
これからリークはモンスターや人からスキルを盗んで、それを武器や防具や道具やアイテムに付与して売る。
リークは腕まくりをして、幻想ショップの掃除にとりかかった。
5時間くらいが経過した頃、謎の美少女がこちらをじっと見ていた。
リークの目が悪い訳ではないが、美少女は店の中を飛んでいた。
「こんにちわ、リーク、あなたをとてもとても待っていたの、私はカナシーよ、覚えてね」
カナシーはお店の中を飛びまわる。
白いフルリのついた服を着こなして、銀色の髪の毛をしていて、窓から差し込む太陽の光がロングヘアーを輝かせていた。カナシーの笑顔がリークを癒しへと誘い出してくれた。
そして現在、2人は椅子に座って向かい合っていたのだ。
「カナシーさんは何でここに?」
「さぁ?」
気が重たくなった。
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