第8話 あみだくじ

 ◇◇◇


 お母さんへ


 ひなからあみだくじが届きました。

 私の選んだ結果は、『ママがしあわせになる!』で、ひなが選んだ結果は、『ママが明るくなる!』でした。


 彼女の深層心理にママが深く刻まれているようです。

 心理検査でも明らかにされました。


 お母さんは私が幼いころよくお金をかけない遊びをしてくれましたね。

 あみだくじも作ってくれましたし、迷路や袋文字も書いてくれました。

 お母さんは破れた風船も口をネズミさんみたいにして、吸い付きちいさな風船を作ってくれました。


 ノートは、書店に行くとお買い物もしていないのに、余っているからと少女向けの漫画雑誌の付録を使っていました。

 お母さんは、サンリオでは、キキララをすすめてくれて、それしか知らない程でした。

 亀有かめありの眼科へ行くと、素敵な小物やさんへ連れていってくれて、店員のお兄さんが、文字入れをしてくれましたね。

 多分、しずえとか入れたのでしょう。

 それから随分経って、大学生の頃もその辺りでサブリナパンツを求めてくれましたね。

 あの頃から運動量が減り、下腹ぽっこりが気になるお年頃になりました。

 彼氏と男鹿半島へ行ったとき穿いていたのですが、写真が恥ずかしいです。


 私の心はあみだくじです。

 娘が願うように、母の幸せと健康を祈っております。

 今年は卯年。

 もうすぐ辰年が顔を出します。


 お見舞いは、お母さんに届いておりますか。

 栄養が足りなくなったとの話を心配しております。

 プリンは食べられたでしょうか。


 父の危険物、日光の巨大絵馬がテレビ台にありますが、早く落下しない所へ置くか、写真にして置くかして欲しいです。

 脳外科へ行ったのに、頭割いたのに、鈍感だと思います。

 私は紙にさらっと描いたすかし百合を置いてきました。

 見えないでしょうし、香りも来ないでしょう。


 人は、どこまで生きたらいいのか、阿弥陀如来に尋ねてみましょうか。

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