第四話 麻人編

Intermission

 ソーサリーメテオ暗殺部隊〈アックス〉メンバーおよび、〈セイバー〉メンバーの現状


 部隊名アックスの現状

 本部から通達される任務の遂行

 部隊名セイバーの戦力補助

 現在〈アックス〉と〈セイバー〉はほぼワンチームとして同地域上で任務を行っている。


 村雲鈴音(二十三)

 部隊名〈アックス〉のリーダー

 AZネーム:エア=M=ダークサイズ

 ミッションコードネーム:アックス=M

 属性:風

 第二呪文の段階へ覚醒したAZクラスの中で、数少ない女性能力者。

 AZクラスの中で、能力は平均よりやや低い程度だが、それに見余る以上の操作技術と、第二呪文の覚醒によりAZクラスへ昇格。

 勝気、男勝りの性格だが、女性としての柔軟な思考能力も持ち合わせる。

 やや素行に粗暴さ、時には横暴さが見えるが、任務中においては沈着冷静、部下の精神身体状況への配慮など広い視野で臨機応変の状況判断もできる。

 おそらくこの差は本人自身が自分の性格の欠点を自覚し、それを抑えまたは葛藤に抗う事のできる精神力が備わっているものと推測される。

 現在の状況において、本人が全力で能力を解き放つ機会がここ数年発生していないため、今現在の個人戦力としては、未知数。

 現在確認が取れている第二呪文(セカンドスペル)

 ヴァリアブル:属性変身能力。


 葉山誠一郎(二十)

 部隊名〈アックス〉のメンバー

 ミッションコードネーム:アックス1

 属性:癒

 AZクラスを含め、極めて稀な治癒の能力者。

 他者との意思疎通が希薄であり、本人自身も他者との距離を置くところが見受けられる、そのため誤解を受けるケースも度々あった。しかし現在、部隊名〈セイバー〉への相互補助の任務を受けた頃より、自メンバーを含む〈セイバー〉との情報交換……コミュニケーションも、以前と比較すれば良好な方向へ。

 ただし、他者との親睦が深まる機会において、時折自分から距離を置く行動が今現在でも見受けられる。

 能力においては、自己、他者への基本的な治癒能力(ヒール)と、それよりも損傷の高い状態……生命活動の危うい状態からの完全回復(ライフセイビング)。体内のコンディションを最良のものへと戻す体内調整(キュア)が確認済み。

 本人の寡黙な気質によるためか、言葉による呪文構成補助技術……指令呪文(コマンドスペル)をあまり使用せず、また本人の技術力の様子から、その必要性も見受けられない。

 今現在において、本人が能力の向上をする機会、新しい応用技術を見つける機会が少なく、また能力の不十分さも見受けられないため、第二呪文(セカンドスペル)に覚醒しつつも扱う機会がない。

 現在確認が取れている第二呪文(セカンドスペル)

 分類不可:本人は我が意思の雨(ジャスティスレイン)と名づけている。

 呪文の特徴:相手の能力を吸収、そして応用。一時的に自分のものとする特殊能力。


 羅シュウジ(十六)  本名:羅シンファ。

 部隊名〈アックス〉のメンバー

 ミッションコードネーム:アックス2

 属性:雷

 某小国出身。武術を主とした技術に長け、体格に恵まれなかったものの、小柄な体格を利用した武闘技術とその才覚によって、部隊名〈アックス〉の前衛、近接主戦力としての立場を確保している。

 精神的にもまだ未熟な面が見えるが、自己の武術への堅実さとその誇り、立場をわきまえる自己分析にも長けており、態度の悪い言動もまた、己の立場を判断した上での身の振り方とも取れる。

 出生のためか、精神面が不安定な時が数度あったが、現在では精神面に問題は無し。

 能力が極めて高いが、それを操作する技術力が完全に未熟であり、能力を全力で扱うことは危険。

 能力を複雑に構成し操る呪文技術を、いまだ習得できていない。

 能力的な攻撃方法は、相手への接触時に電撃を与える事と、本人は『爆雷陣』と呼んでいる広域電撃放射のみであり、それ以上の能力を行使するとしたら、これまで以上の技術力の向上が絶対視される。

 現状では全体的な能力向上よりも、基礎的な操作技術の鍛錬を入念に行う必要があり、その理由に伴い、第二呪文の覚醒は、アックス1とは別の意味で遠いものである。



「性悪女に木偶の坊と小賢しいガキにしか見えないが、こう書くと将来性のある有望な人材に見えるな」

「そう、ありがとう」

 真に『建前』でしか書いていない鈴音なだけに、防人……フレイム=A=ブレイクの皮肉も、大した効果は発揮されなかった様子。

 

 裏社会の組織の中で、ソーサリーメテオのみが持つこの能力(ソーサリー)は、精神面にその強大さ、または脆さが左右される。

 精神的な揺らぎ、心の負担、迷いによって弱体化し、その反面、何かしらを得た時、何かを見い出した時、己の内側で手に入れた時などに強化、発展がされる。

 おそらく、『戦士として半人前』でなければ、この力を最大限に扱う事はできないのだろう……

 能力が精神、心に左右されるという事は、心を殺し戒めて扱うやり方では真に扱う事が出来ない。戦士として……兵士としての最上は、徹底して情を排除した機械であったとしても、それではこの与えられた能力は、答えてはくれない。

 心の無い戦闘マシーンになったとしても、高位の能力者にはなれない。 

 ソーサリーメテオが持つ能力は、そういった精神世界の力であった。


 部隊名〈セイバー〉の現状

 部隊名アックスとの相互補助による任務遂行。

 現在、〈セイバー〉は人員不足により戦力の低下状態であり、アックスの戦力補助の下、任務の遂行を行っている。


 五十嵐防人(三十)

 部隊名セイバーのリーダー

 AZネーム:フレイム=A=ブレイク

 ミッションコードネーム:セイバー=A

 属性:炎

 AZクラスの中で最も強力な攻撃的戦力を有する。

 覚醒した第二呪文を複数持つ。

 冷徹一貫の気質であり、また能力によって大規模破壊等の大胆な任務も遂行可能。

 AZクラスの中でも、高度な能力と任務遂行率の高さを、現在でも維持している。

 多少冷徹すぎる傾向もあるが、それはソーサリーメテオに対する忠誠心とも見れる様子。

 能力、技術力において、不備不足は見えず。

 現在確認が取れている第二呪文。

 ヴァリアブル:属性変身能力。

 アザーセルフ:属性を基とした擬似生物の召喚能力……擬似生物名「火炎龍」

 派生として、目標物へ集中的に熱エネルギーを与える力も扱える。だが、これは最初の第二呪文の覚醒時より以前の、初期の頃から扱うことが出来ていた。よって第二呪文の範囲に入らず、彼特有のものではないかと推測される。


 鳥羽凉平(二十)

 部隊名セイバーのメンバー

 ミッションコードネーム:セイバー2

 属性:光

 自身の能力に熟知し、そして十分に鍛え上げられた身体能力、攻守、前後、全般的に立ち回れる。

 特に能力を扱った上での射撃技術が最も高い。

 能力に依存し、頼り切るという事をせず、また自分の力を過信せず不信もなく、自分の能力を『一つの道具』として扱う心構えを持っている。

 軽い言動が目に付く様子だが、それは己が自由度の高い行動が出来るようにするための基盤とも取れ、事実、揚げ足を取られない範囲の自由な行動と、それに伴った成績を上げている。

 しかし、それが本人の、初めから持っていた気質とはまた別の気配にも見える。

 この気質はおそらく、彼が今までの中で手に入れた後天的な要素と判断。

 高い戦闘能力と臨機応変な思考能力を持ち合わせていながらも、未だ第二呪文の覚醒は現れず。覚醒するに見合った能力を持ちながらも、未だにその燐片すら見えない現状は、おそらく彼自身の深い部分に、何らかの原因があるかもしれないと予測する。


※ 部隊名〈セイバー〉における補足事項

 現在セイバー1の席は空席状態。

 約二ヶ月前、元セイバー1はソーサリーメテオを脱退。

 当時の〈アックス〉との合同任務時において、抹殺目標であった、複数いる目標の内、一人の女性への抹殺命令を拒否し、その女性とセイバー1は任務中にフレイム=A=ブレイクを退き、現在逃亡中。

 フレイム=A=ブレイクとの戦闘時、セイバー1は第二呪文の覚醒が確認された。

 元セイバー1:洸真麻人(二十)

 属性:地

 確認が取れている第二呪文――どのカテゴリーにも該当せず。分類不可。

 

 元セイバー1、洸真麻人への追撃、および排除は別部隊が行う事となっているが、〈セイバー〉〈アックス〉共に、現在において関係する情報は一切入手できず。

 よって、別部隊へ提供できる情報は無し。

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