第61話 聡明
――『その力が、ベリルから受け継がれたものだとしても』
アメジストの魔法がわずかにも開花し確認された、この
幸いにも部屋に残っていたのはベルメルシア家の屋敷で古くから働き、生前のベリルと面識があり慕う者ばかりであった。
◇
ベルメルシア=ベリル。今は亡き、アメジストの母である。
ベルメルシア家の一人娘として大切に育てられたベリル。自身の十八歳の誕生パーティーの席で
真珠のように輝く美しいロングストレートに毛先だけはゆるくカールされ、ふわふわと優しい印象であった美髪と二重瞼で大きな瞳は同色、神秘と言われる
そしてジャニスティと同じ『治癒回復』を完璧にこなす魔法の使い手として、貴重な存在でもあったのだ。
◇
アメジストが昼食後の部屋で皆からの信頼を感じ前へ進み始めた、その頃。
謎多きレヴシャルメ種族であるクォーツの優れた頭脳に、ジャニスティは驚愕していた。
「良いかい、クォーツ。これから君が過ごしてゆく
「うはゆ!」
クォーツはとても真剣な表情でジャニスティの話を聞き大きく頷きながら、返事をする。
「よし、良い返事だ。君がこれから先どのように進んで行くのか? まだ分からない。もしずっと人族として生きていくのであればとても必要な事だ。そして此処で暮らしていくには、レヴシャルメ種族だという事は言わない方が賢明だろう」
「うぅ……むん?」
――あぁ、眩い光のようだ。
ジャニスティが目を細める程にクォーツの瞳は大きく開かれ輝き、目を離させない。それは彼からの説明を待っているようにも、見えた。
「あぁ、無理もない。しかし
基本重視と教え始めた、話し言葉。ひとまず明日に必要な最低限の挨拶と単語の指導に入る。すると驚きの速さで言葉を覚えていったクォーツは、ものの二時間で会話は全く違和感なく、通じるようになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます