3月20日 運命のルーレット(高校進学前編)

 私の人生を思い返すに、短期間のうちに、それ以降の人生に大きく影響を及ぼす幾つもの選択をする、または強いられたのが高校入学前後だ。


 私は小学校と中学校の途中までサッカー部に所属したスポーツ少年だった。DFで今ではあまり用いられない戦術かもしれないが〝ストッパー〟という相手エースストライカーにマンマークで付く仕事をコーチから求めらる事が多かった。しかし先にも述べたが、中学の途中でサッカー部は辞めることになる。

 理由は学校の成績だった。今から思えば、私は勉強が楽しい方ではなかったが、親の方針もあり、進学塾に通っていたお陰もあって、クラスの中での成績はまずまずだった。しかし中学のサッカー部の顧問(この方はその後隣の中学校に赴任され、1983年に全国制覇をされる方なのだが)がサッカーに対してとても厳しい方で、その方の課す日々の練習についていく中、私の成績はどんどん下がっていった。私から辞めると言い出したのか、親に辞めろと迫られてだったのか、今となっては記憶は定かではない。しかしクラブのみんなを前に、自分が辞めることを泣きながら宣言したシーンは、今でもトラウマの如く記憶に焼き付いている。

 その後勉強はそこそこしたと思う。ただ成績が落ち着く中で、やはりスポーツが好きだったのだろう、私はテレビ観戦を通じて大学ラグビーに惹かれていく。ただ何故ラグビーだったのかを今考えると、途中で投げ出してしまったサッカーには、申し訳なくてもう戻れないという考えがあったのではないかと思う。


 その当時の大学ラグビーの強豪校に対する私の認識は、今も変わらないのかもしれないが、魂のタックル&アップアンドアンダーの慶応、フォワードの明治、バックスの展開力の早稲田というものだった。気が付くと私はタイガージャージ、慶応の熱烈なファンになっていた。

 私は両親に文武両道を目指す事を宣言し、東京のラグビーの名門、國學院久我山を受験する事を決めた。


続く

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