3月19日 星空
都会では星が見えない事はないが、満点の星空を見ることはできない。都会に住む人の割合が増えれば増えるほど、純粋に宇宙に憧れる人は少なくなっていくのではないだろうか。今回は星空について、小説の中の話と、夜空に瞬く星の話をしたいと思う。
私が星空をイメージすると、そのまま宇宙が連想され、続いて現れるのは、『キャプテンフューチャー』こと〝カーティス・ニュートン〟とその仲間(フューチャーメン)たちだ。脳だけとなった〝サイモン・ライト〟とロボットの〝グラッグ〟、アンドロイドの〝オットー〟。彼らが大活躍する小説を読んでいるとき、私の心は彼らと一緒にコメット号に乗って星々の間を飛び回っていた。『キャプテン・フューチャー』はエドモンド・ハミルトンのSFシリーズとして有名だが、私がこの物語を知ったのはアニメだった。NHKで放送されていたその内容が面白く、放映が終わった後に小説を読み漁った。
この『キャプテンフューチャー』シリーズを読んでいただいた方はお分かりだと思うが、少年少女にSF小説の入門書としてお勧めするのに最適な小説である。科学的な知的好奇心を満たしてくれるだけでなく、グラッグとオットーの掛け合いなど魅力に溢れ、読めばついつい宇宙を、空を見上げたくなる。
その後、高千穂遙先生の〝クラッシャー・ジョー〟シリーズも読破したのだが、登場人物のタロスとリッキーの掛け合いは、高千穂遙先生の、『キャプテンフューチャー』シリーズに対するオマージュで、フューチャーメンのグラッグとオットーの掛け合いを意識されたのではないかと勝手に考えている。(あくまで個人的感想です。)
話は変わって皆さんは夜空を見て感動した事はあるだろうか。私の記憶に残る夜空の記憶をお話ししたい。それは北海道の更別村というところで土木関係の工事をしていた時のことだ。仕事がなかなかうまく軌道に乗らない事もあり、その頃は人手不足は個人の残業努力によってバランスがとられているのが建設業だけでなく、当たり前の事だった。その日も一度宿舎に帰り、食事をしてから現場の事務所に戻って事務作業を夜半近くまで行った。現場は道路からも少し離れた農道沿いの、周りを農場に囲まれた場所にあった。初冬、雪はなかったが、キンキンに冷えた夜。事務所の明かりを消すと辺りには人口の明かりは全くなかった。その時になんとなく〝今日はやけに明るいな〟と思って夜空を仰いだ時、そこにははっきりと天の川が見えるほどの星空があった。車のエンジンを入れて、ただしライトは消し、車の中が暖まるまでの時間、夜空に見惚れた。その時、寒さもあったのかもしれない、仕事の辛さもあったのかもしれない。家族と離れ離れの寂しさもあったのかもしれない。私は色々な感情が込み上げて泣いていた。あの時の星空を正確に思い出すことはもうできないが、あの時のシチュエーションはハッキリと思い出すことが出来る。
今は転職をしたこともあり、札幌に暮らし、郊外へ行く事も少なくなった。多分都会で暮らしてきた子供たちも本当の星空の姿を知らない。子供たちが私たち夫婦の手から離れる前に、空気も汚れ、照明も邪魔して星がポツポツとしか見えない空ではなく、本来の空の姿、満点の星をみせてやれたらと考えている。
おわり
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