3月7日 仙台の魅力(瑞鳳殿)

 一年前までは少なくとも月に二度ほど仕事で仙台に出張で行っていた。仙台の街には色々な魅力があるのだが今回は〝瑞鳳殿〟について私なりにお伝えしたい。


 仙台といえば言わずと知れた伊達政宗公、仙台で生まれ育った方のほとんどの方が政宗公に愛着の念を持っているのではないか。仙台に行く前は私の伊達政宗公の知識は、大河ドラマの「独眼竜政宗」で聞きかじった程度しかなかった。

 しかしある時、ポッカリ丸一日休日を仙台で過ごすスケジュールになった。私はビジネスホテルでうだうだと過ごすわけにもいかず、仙台のスタッフから薦められていた仙台市内の観光地を回る観光バス〝るーぷる仙台〟に乗って仙台市内の観光地を回ることにした。

 観光前はぼんやりと『仙台城で〝伊達政宗騎馬像〟でも見るか』程度のモチベーションしかなかったのだが、〝るーぷる仙台〟は観光地を回る周遊ルートで、定額で何回でも乗り降りできた。それならば、とこれも仙台のスタッフに薦められていた政宗公の霊廟、瑞鳳殿も降車して見てみることにした。しかし後から考えるとこの瑞鳳殿が一番面白い観光スポットであった。


 瑞鳳殿は建築当時、技術・芸術の粋をあつめた桃山文化の傑作であったそうだ。何故過去形かと言えば、国宝にも指定されていた瑞鳳殿は1945年に仙台空襲で消失していた。現在私たちが見ることができるのは、1974年から1979年にかけて復元されたものである。ただ精巧に復元されており、現在の瑞鳳殿も文化的価値は十分にあると感じられた。ただ私が面白いと思ったのは建築物に対してではない。そこに納められている〝もの〟についてだ。


 これは瑞鳳殿の横にある資料館で観た資料映像で知ったのだが、上で述べた1974年からの再建時に合わせて発掘調査が行われ、伊達政宗公の遺骨や副葬品が出土したのだが、それが記録映像として残っているのだ。木製の座棺の中に防腐剤として詰められていた石灰カルシウムの為に保存状態は良く、頭蓋骨はじめ骨が形状を留めていた。確か映像の中で〝これが政宗公の頭蓋骨〟といった説明がされる中、頭骨とうこつが映像として映った。歴史上の有名な人物、しかも推測ではないその人物と特定できる遺骨を映像で見るという機会は人生において初めての経験だった。他にもその頭骨とうこつを元に粘土で肉付けした〝伊達政宗復元容貌像〟も展示されていた。これら展示物は、伊達政宗公の遺骨を、映像とは言え見た後ということもあるのだろうがかなりのインパクトを私は受けた。

 これは後日談だが仙台への出張が無くなると決まった後、残された仙台出張に合わせて妻を呼び、休日に仙台の観光地を回った。もちろん私の一番のお薦めは瑞鳳殿だった。しかし資料館で流される映像は何種類かあり、限られた滞在時間の中で私が驚愕した映像を妻に見せてあげることができなかった。見てさえもらえていたら、妻の記憶にも瑞鳳殿の記憶が深く刻まれたのではないかと思えて今でも残念でならない。

 

 瑞鳳殿に行かれるならたっぷりと時間を確保して資料館でたっぷり映像をご覧になることをお薦めする。


おわり

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