3月6日 飛行機

 幼い頃の私の夢はパイロットになる事だった。しかし本に魅せられて夜な夜な布団の中でコナン・ドイルやアガサ・クリスティを読みふけった少年は、小学校を卒業するころには乱視の入った酷い近視の為にその夢を捨てざるを得なかった。


 それでも、そして今でも私は飛行機を見るのも乗るのも大好きだ。各国の戦闘機の性能をインターネットで調べるのも好きだし、エアバスのA-350の色々な角度からの画像を見て時間が潰せる。そして昨年までの7年間は仕事の都合で少なくても月に2回は札幌と仙台を飛行機で往復する生活が続いた。ただ大抵の場合、その移動は朝方か夜で、私は飛行機に乗ると疲れもありアイマスクをしてすぐ寝てしまった。しかしたまに夕暮れ時に飛行機に乗る時があり、そんな時は眠たい目をこすりこすり頑張って機内で起きていた。というのも夕暮れ時の雲の上の景色は地上では見られない特別なものだからだ。黄金に染まる雲、機内も黄金色に染まる。眩しくて半分シェードを閉めることがあっても私は窓に顔を近づけて外の景色を貪り見た。そんな時は時が経つのも忘れていた。そんな飛行機好きの私だが、飛行機が空を飛ぶ仕組みは頭ではわかっているもののどうも腑に落ちないでいる。


 その仕組みとは〝揚力〟の事で、主翼の形状から羽の上下で流れる空気は比較で上側を流れる空気が薄くなり、機体は上に引っ張り上げられる。この上に引っ張り上げる力が〝揚力〟だ。インターネットで調べれば図入りの解説がすぐ見つかるので気になった方はお調べいただきたい。しかしだ。その空気の圧力の差であの大きな鉄の塊である航空機が宙に浮くという事がどうしても腑に落ちないのである。


 とはいえ世界中で飛行機が飛び回り、事故は無いわけではないが、車の事故の発生率に比べれば比較にならないほど低い。安全である事は認めざるを得ない。


おわり

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