第5話
「はっ…!」
私は起き上がった。
「ここは?待って、リリは?お母様、お父様は…?お城はどうなったのです?あれ、私、なんで?」
今の状況を飲み込めない私は、ぽかんとして立ち尽くす。
「まさか。まさか、、、」
私は震え始める。怖い。とにかく、リリを探しに…そんなことを思い、足を動かした時だった。
空から星が落ちてくる。きらり、きらりと輝いて私の目に前に落ちた。
すると、その星は光り輝き、見事に割れた。
その中から美しい女性が出てくる。あまりにも美しい姿に私はその女性に見入ってしまった。
金髪で微かに光る青い瞳。その女性は立ち上がり、私の手を引っ張る。
私は声を出そうと、口を開く。しかし、言葉を発することができない。
女性は私の手を更に強く引っ張り、何処かへと進む。
「…っ!」
声を出そうとしても出ない。出せない。
ど、何処へ行くの⁉︎あなたは誰なの?だめ、そっちには行きたくない の!いやよ、いや!なんだか私自身が消えてしまう気がする。いやよ!お願い、引っ張らないで!離してください…
私は心の中で必死になりながら、叫ぶ。しかし、もちろんのこと、その女性には届くはずがない。私は半泣きで引っ張られ続けた。
何やら、門らしいものが見えてきた。女性は笑って、私をその門を潜らせようと、私の手をぎゅっと握り、走る。私はその手を振り払うこともできないまま、ただただ引っ張られ続けた。
私は空を見た。
流れ星がいくつも見えた。とても綺麗で、私は握られていないもう片方の手でその星空に手を伸ばす。届くはずもない。
その時だった。煉瓦が星空を遮った。そう門を潜ったのだ。
「っ!」
何かが消えた。何かが消えた。何が消えた?私は前を見る。また先には門がある。赤い煉瓦でできている。しかし、さっきの門とはまた違う。
いや!本当に行きたくないわ!お願い、私の手を引っ張らないで。
いくら訴えても届かない。もう、門も目の前だ。
「っ!」
潜る。また消える。消えた。
また門が見える。
潜る。
何かが消える。
「?」
また門がある。
潜る。
消える。
「??」
また門がある。
潜る。
消える。
「???」
また門がある。
潜る。
消える。
「????」
また門がある。
潜る。
消えた。
すると、彼女を引っ張っていた女性が優しく微笑み、彼女の頭を撫でる。そして、耳打ちをする。
「愛しているわ。ここからは、あなた自身が進みなさい。」
そう言い、彼女の手を離す。
そう言われた彼女は、何も考えることなく、前へ進む。
前へ。
前へ。
前へ。
前へ。
次第に光が見えてきた。
前へ。
前へ。
前へ。
そして、光に包まれた。
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