第4話 恋愛趣味レーションゲーム

 異世界転生と言えば恋愛シミュレーションゲームの世界のようでございますが、私が若いころにやりましたのは「アンジェリーク」というゲームでございました。

 クリアできませんでした。


 アンジェリークと言う名の女子高生が宇宙の女王になるために、9人ぐらいの性格の違う素敵な男性を手玉に取りながらバランスよく宇宙のパラメータを上げ、ついでにそのうちの誰かを恋人にするというようなシステムだったと記憶しています。


 お気に入りの男性を特別に扱ってはいけないのです。

 素敵なメンズの質問に自分の感じるままの回答をしてはいけません。相手の気に入る選択肢の回答を選び、誰も敵に回さず好感度を上げながら、自分の世界の成長に協力させる。まさに会社生活における神髄。


 なお、私の宇宙は「あなたの世界には美しさが足りないわ」とほざく、ピンク色の女装オネエの守護聖(というイケメン)に手当たり次第破壊され、ピンク色の惑星ばかりにされて場末のネオン街のようになりました。


 今もダリい会議でイライラしているのは、アンジェリークをクリアできなかったからだと思っています。でも多分今もクリアできないでしょう。ただ、最近は会議中に「これが異世界転生だったら」と意識を飛ばすことができるようになりました。

 あのゲームの何処に恋愛の要素があったのかは正直、未だに謎ですが。

 今から就職しようという若者にはぜひアンジェリークで忖度の神髄を学び、楽しい会社員生活を送っていただきたいとアドバイスさせていただきます。






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