第28話
『さぁ、これで一勝一敗です。面白くなってきましたねー』
「む……むむ……むぅ……!!」
:さよなら夜芽アコ
:おかしい人を亡くしました
:見納め記念
:お前もしガワ変えて復活しても晒し上げるからな
:負け確扱いなの草
伝説の虫けら:手段を選ぶな。勝て。
:俺は夢ちゃんの顔が見たいから勝ってくれアコ
:今更だけど引退まではやらなくていいんじゃねぇの?
まさかまさかの、お互いが得意な事で負けるという想定外。番狂わせにも程がある。
けれど僕と優人さんは、元から一勝一敗になる事は予想してたので、過程は置いといて結果的には想定内の事態に収まった。
「さ、最後はヤリオカートだね……ふ、ふん! ここで勝つからいいもん!! ここまでは前座の余興だよ!!」
『それは私のセリフでもあります。ここで勝って全部終わらせます』
「上等!!」
『……その前に、少し休憩を挟みましょうか。お互い少し休憩したいでしょう?』
「…………確かにそうだね。いつ再開?」
『では20:00から再開しましょう。その方がキリいいでしょうし。一旦通話を切りますよ』
「おっけー。じゃあ切るよ。
…………さて、ちょっとお花摘んでくるね」
:てら
:雉撃ってこい
:トイレは甘えやぞ
:逃げるなよ
:行っトイレ
:審議拒否
しっかりマイクをミュートにすると、穂澄さんはこちらに振り返り、青い顔を僕らに向けてくる。
「……わ、私の完璧なプランが……!?」
「絵に描いた餅なんじゃないかなぁ」
「取らぬ狸の皮算用とも言うのかね、これ」
「真面目に聞いてよォ!!」
「いやまぁ……一勝一敗になるのは予想通りだったし……スラブラで勝ったのは凄かったけど」
「でしょー!? 翔華ちゃんに教えもらったんだから負けるわけにはいかないよ!!」
煽りカスなのは置いておいて、それでもスラブラで一勝をもぎ取ったのは穂澄さんの努力や頑張りが見える。麻雀に関しては……まぁ、勝ちは運。負けは実力って言葉通りなんだろう。わからないけど。
「まぁ、過ぎたもんはしょうがねぇ。最後はヤリオカートだよな? ……ちなみに勝算は?」
「…………練習はしたけど、スラブラ程自信はない……」
「アイテム運を祈るしかないですね」
「大丈夫!! 運なら……そこまで悪くないから!!」
「あれ、麻雀……?」
「お花摘んでくる!!」
止める間もなく部屋から出て行った穂澄さんを見送ってから、僕と優人さんは互いに顔を見合わせる。
「まぁ……盛り上がり的には悪くねぇな」
「むしろ予想より盛り上がってますね」
ちらりとチャット欄を見ると、相変わらず好き放題書かれている便所の落書きみたいな治安ではあるけど、勝負の展開の熱さでそれに熱狂してるリスナーの数の方が目立つ。
普段は夜芽アコにボロクソ書いてる連中も、今回ばかりは応援の声が大きい。あの伝説の虫けらですら勝てと書いてる。これがお互い得意なゲームで勝っていたらここまでの盛り上がりは無かっただろう。
「欲を言うならヤリオカートでも盛り上がって欲しいが……翔華ちゃんのヤリオカートの腕前はどんなもんだ?」
「スラブラ程じゃないですけど上手いですよ。ただアイテムは運が絡むからそこは苦手って言ってますけど」
翔華とのヤリオカート対戦は、アイテムを使った嫌がらせが上手く刺されば僕でも3割は勝てるかな? ぐらい。穂澄さんの腕前で考えたら……いいアイテムさえ引けたらワンチャンぐらいだと思う。
「なるほどな。まぁ、ここまで来たらこっちのもんよ。後はタイミングだな、ランスロット君」
「ええ、アーチャーさんも抜かりなく。狙い撃ってください」
「……下手に変な返しをしたら余計な言葉が帰ってきそうだから俺は黙って頷くぜ」
「シュゴルナイツって呼ばない限りは普通に対応しますよ?」
「ネタは擦ってなんぼだろ」
「僕もその精神なんですよ」
お互い言葉のナイフを懐でチラつかせながら超えてはいけないラインで反復横跳び。どちらが切っても切り返される不毛な争いである。
今更だけど優人さん、歳上なんだけどあまりにも気安いので同年代相手してるみたいな対応になってしまう。
……そうか、この気安さが結衣子さんを受け入れたのか。納得してしまった。
「なんでいきなりそんなかわいそうな物を見る目で俺を見てるかは知らんが……とりあえず俺は準備もあるからそろそろ下行っとくわ。そっちはよろしく」
「了解です。ご武運を」
そう言って部屋から出て行った優人さんを見送ったタイミングで、僕のスマホにメッセージが届く。
差出人は翔華だ。
『ごめんストレート勝ちはできなかった。でも最後は勝つから安心して』
送られてきた内容に律儀だな……と思いつつも『他人を恨んだり、自分のことを責めたりしないでくれ。これは僕の、最後の頼みだ』と返しておいたら、『なんでポ〇戦? トラウマほじくり返さないでよ』って返ってきた。
あれだよね、全部知ってるア〇少年視点ってこんな感じだったんだなって今になって理解する。もう戦わなくていいんだよって叫ぶよね、そりゃ。
『とりあえず信じてるから頑張れって意味。まぁなんとかなるって。僕は止まんねぇから』
『巻き込んだ身で言うのはアレなんだけど、なんでそんな余裕あんの? 別にいいけど。
了解勝ってくる。心恵さんのおかげで一勝出来たんだし、心恵さんのためにも勝ってくるから』
そこでメッセージを終え、僕が改めて配信画面を開く……前に、何となく天谷夢華側の配信とチャット欄がどうなってるのか確認しに行く。あっちの民度はどんなもんなんだろう。
『ただいま〜。ちょっとお兄ちゃんにメッセージ送ってた。頑張れなんとかなるだって。巻き込んでおいてアレなんだけど、私より余裕があってなんか落ち着いちゃった』
:おかえり〜
:お兄様図太いw
:妹を信じる兄の鏡
:夢ちゃんのお兄さん変に図太いねw
:仲良さそうで羨ましいなぁ
:夢ちゃんどっちが素なの?
『まぁお兄ちゃんは変に図太いね〜。なんだろう、楽観的というか無害そうな顔してるけど、わりと助けてくれ〜ってお願い事をしてくるし、レスバとかだと無駄に口が達者になるし、まぁ変な人だよ。お母さんによく似てるし』
:キャラが濃い
:お兄ちゃんママ……!
:お兄さんもVtuberにしよう
:兄バレしてから結構家族の話が出るよねw
:兄相手だと声が低そう
:お母さんの話は今回初めて聞いたかも
伝説の虫けら:レスバが強い兄貴嫌すぎて草
ちらほらと変なコメントはあるけど、夜芽アコのチャット欄が便所の落書きなら、こちらは清流。透き通った平和な場所だ。てかここにも居るのかよ伝説の虫けら。なんなんだコイツ。
……まぁこっちはこんなノリか、理解した。平和というかよくあるノリだ。それはそれとして僕の評価がなんか納得いかない。母さんに似てるってのはまぁ……多少自覚はあるけどママはないだろう。
天谷夢華の配信を閉じ、改めて夜芽アコの配信を開く。
:なげぇぞ
:逃げたな
:逃げるな逃げるな逃げるな逃げるな
:おい見てんだろ
:【悲報】夜芽アコ、逃亡
:お前が始めた物語だろ
伝説の虫けら:はよしろ
アーチャー:奴は必ず帰ってくる
うん。いつも通りで安心する。
「ただいまー……あれ? パパは?」
「さっき下に降りましたよ。多分時間も時間ですし色々あるんじゃないですかね」
「あー、そうだね。了解了解。俊介君、見守ってね……!!」
その言葉に頷いて返してから時計を見ると、時刻は丁度20:00。
パソコンの前に座った穂澄さんは緊張を打ち消すように深い息を吐くと、表情を引き締めてからマイクのミュートをオフにして、通話を繋げる。
「ただいま。戻って来たよ」
『逃げなかったんですね。そこは見直します』
「ふん。勝てばいいだけの話だしー! そっちこそ逃げなくて良かったのー?」
『その言葉、そっくりそのままお返ししますよ』
:【朗報】夜芽アコ、帰還
:おかえり
:腹の調子でも悪いんか?
:勝て勝て勝て
:逃げときゃよかったのに
:マジで見納めになんのか、アコ
伝説の虫けら:勝ってこい
「最後はヤリオカートだよね。ルール説明お願い」
『ええ。150CC。コースはヤリオサーキット。12人対戦で残りの10人はCPUの強さは弱め。順位が高い方が勝ちというルールです。これで実質的なタイマンとなります。問題ないですね?』
「おっけー。アイテムは?」
『ありです。無い方がよかったですか?』
「ノー! 断然あり!!」
:まぁアイテム無いと終わりだわな
:昔のヤリカ配信見てるとなぁ……
:1位取るまで辞めれないヤリカ配信で56連続最下位は腹抱えて笑った
:あの時の台パンは魂が入ってた
:魂入ってない台パンはただの暴力だからな
:台パン自体が暴力やろ
「……さぁ、泣いても笑ってもお互いこれで最後だよ。天谷夢華ちゃん」
真剣な面持ちの穂澄さんが選んだのはウッキーコング。対する翔華が選んだのはヤリオ。
ウッキーコングとヤリオ、僕が生まれるずっと前のゲームで敵対した事があるキャラクターのチョイス。
ラストバトルの役者に相応しい組み合わせでなんやかんやこの二人、配信者として持っているなと勝手に思う。
『ええ……どちらが残ってどちらが消えるか、決着を付けましょう。夜芽アコさん』
「『スタート!!』」
:いっけー
:がんば
:お前が勝つ所を見せてくれ
:天谷夢華共々ドリー民を引き潰せ
:勝っても負けてもVtuberの歴史に残るわ
伝説の虫けら:いけいけいけ
盛り上がるチャット欄と共に、最後の戦いの火蓋が切って落とされた。
…………さて、僕もそろそろ準備をするか。
△▼△
「ちょ! 私のアイテム!!」
『遅い方が悪い!』
「むむむ……!!」
ヤリオカートの対戦。案の定とも言うべきか、翔華の優勢で始まった。
基本的にゲームに関しては翔華に分があり、スラブラという例外を除けば翔華が負ける確率は極めて低い。
けど、ヤリオカートは普通のレースゲームと違って面白い仕組みがある。順位が低ければ低い程、強いアイテムが出やすいのだ。
「シャンダー出た!! これでまくる!!」
『ちょ!? ああもうこのアイテムゲー……!!』
それもあって、アイテムの引き次第では穂澄さんが翔華を抜いたりと中々に面白い展開が続いており、チャット欄もそれに反応して大いに盛り上がっている。
:つーぶーせ! つーぶーせ!
:運ゲー最高!!
:赤コークぶち当てろ
:台パンまだ?
:やれるぞ!!
:いっけー
「やれるやれる!! このまま一気に────ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!? 緑コークふっざけんなっ!! 気持ちよく勝たせてよ!!」
『うっさい!! 声が邪魔!! 避けれない方が悪いっての!』
「性格悪っ!!」
『お前が!! 言うなっ!!』
お互いもう完全に取り繕う気がない。夜芽アコはもういいとして、天谷夢華は今後に支障しか出ない気がする。一応アイドル路線で売ってたんだけど……まぁ、逆に変なファンがつくかもしれない。マイナス寄りのプラマイゼロって事にしておこう。
レースもそろそろ中盤に差し掛かる。他のCPUを弱めにしてるのと、穂澄さんのアイテム運で今のところは翔華1位、穂澄さん2位のデットヒートが繰り広げられている。
「はい赤コーク来た!! バーカ!! ぶち当たれ!!」
『あああああ!? お前なんでそんなにアイテム運良いの!? チート!?』
「理解不能な挙動をチートとか言うのゲーマーあるあるだよねぇー!! 今からモノマネしまーす!! チート!? あっ!! チートだっ!? こいつやったぁ!? チートチート! あいつもチートコイツもチートどいつもチート!! 私が勝てないからチート!! 運営に私が勝てないからチートですって通報しなきゃ!! チートチート!! チィーット!!」
『おっまえふざけんのも大概にしろこのドグサレメンヘラ女がっ!!』
:wwwww
:発狂芸
:的確に腹が立つw
:こうやって煽る時のキレがいいから荒らしが減らねぇんじゃねぇの?
:百里ある
:こいつ怖いよ
レースゲームだからってそこまでアクセル踏み込まなくていいよとツッコミたくなるけど流石に前と同じ轍は踏まない。黙って生暖かい目で見守る事にする。
そしてレースもそろそろ中盤に差し掛かってきて盛り上がりも最高潮と言った所で、メッセージが届いた。
……メッセージの内容を確認した僕は、そっと準備に取り掛かる事にする。
チャット欄は盛り上がっているし、二人はあったまってるけど、念には念をって意味とこの後の立ち回りの為に僕もコメントを書き込むことにする。
……この二人の性格を考える。どんなコメントならあったまるか。
考えて、考えて、僕は文章を捻り出す。もうここまで来たらとことんまでやろう。どうせ爆発するなら、道化のように踊りきってやろうじゃないか。この地雷原で……!!
完全に吹っ切れてる僕は二人の配信に今までの炎上ウォッチングで培った最悪に性格の悪い文面のコメントを連投した。
†裏切りの騎士†ランスロット:こいつら負けてもどうせ顔なんて出さんやろ。彼氏も兄貴も多分しょうもない嘘つきのカス野郎やろうし逃げて終わりやろな。
「『…………アァ゛?』」
全く同時に、二人から地の底から響くような声が聞こえた。怖い。人間ってこんな声出せるんだ。
「人が真剣にやってる時にクソみたいな連投やめろよ!! 私は負けたら顔出すし!! そもそも俊……かれぴは嘘つきなんかじゃないし!! 何がランスロットだよ浮気した裏切り者のカスが!! 騎士王伝説の汚点が囀るな!!」
『ランスロットとか言うイタイ荒らしこっちにも来てるんですけど!! 私はコイツとは違うし、私のお兄ちゃんをバカにするな!!』
「何でもかんでも私の所から来たみたいに言わないでくれる!? 何回も言うけどさぁ! ネットイナゴはどこにでも居るし、私の所によく居る視聴者は私にしか不快な思いさせてないんだけどぉー!?」
『そうやって多方面に喧嘩売るからネットイナゴの隠れ蓑になってるって気付かないワケ!? 自分の身の振り方を考えてから言えよ!! だから腫れ物扱いのバーチャルヴォ〇デモートなんだよお前は!!』
「うっさい猫被り!! 化け皮剥がれてるんだけど!!」
『外面取り繕う事すらしない奴に言われたくない!!』
:ブチギレで草
:ゲームに集中しろ
:まぁ今のはランスロットがゴミ
:連投おっそwかわいいね♡小学生かな?
:ブロックした
伝説の虫けら:っぱ裏切り者の騎士はダメだな。240円、帰って来い
二人の様子は最高潮を通り越した何か。穂澄さんは僕がいる事すら頭から抜け飛んでいるのか、今まで聞いた事のないようなブチギレを見せる。
翔華も今は家に誰も居ないからか、その辺りの配慮を全てぶっちぎった激怒を見せる。
ここまで大きい声なら、外にもちゃんと聞こえてるだろう……後で二人にはちゃんと謝ろう。そう思いながら僕は最後の仕掛けとして、メッセージを二件送り──扉を開けた。
幕はとっくに開いている。後は──閉じるだけ!
「絶対負けない!! 仮に負けても絶対顔出す!! ここまでコケにされて引き下がってやるもんか!! そもそも私は負けないし!! かれぴの為にも、スラブラを教えてくれたあの子の為にも──」
『こっちだって負けてやるわけにはいかないんですよ!! 家族をバカにされて黙ってらんないし!! 私だって負けたら顔出ししますよ!! けどお兄ちゃんの為にも、麻雀を教えてくれたあの人の為にも──』
「『勝つ!!』」
レースも最終盤。熾烈な1位2位争いを繰り広げる二人。どちらも冷静さが欠け、操作が荒々しくてどっちが勝っても負けても不思議では無い。
……さて、古今東西、配信者にとってはある意味でお約束とも言える負のイベント達がある。
顔バレ。身バレ。炎上。引退。例をあげればキリがないが世の中にはそういう物がある。
けれどその中でも、負のイベントではあるがそこまで酷いものではなく、なんならリスナーにネタにされて美味しいイベントもこの世には存在する。
それは俗に言う────
「……アコちゃん? 大きい声が聞こえたから来たけど……顔出しってナニ? ママ聞いてないんだけど?」
『……やぁ娘。状況を考慮して名前で呼ばないであげるけど……今何をしてるんだい? 配信? 顔出し? お母さん何も聞いてないなぁ……何も、聞いてないんだけどなぁ??』
「『…………えっ?』」
:あ
:やば
:草
:こんな事ある??
:嘘やろ
:きたあああああああ
伝説の虫けら:親不孝者すぎるだろコイツら
────親フラである。
親フラ。それは親フラグあるいは親がふらっと来るの略とも言われているそれは、実家暮らしの配信者にとってはお約束とも言えるイベント。
とどのつまり──配信に親が出ちゃった。という事である。
「えっ……ちょ……な、なんで……!? なんでママが!?」
「部屋でお仕事してたら扉が空いてて、声全部聞こえてたよ。
……で、アコちゃん? とりあえず正座しよっか」
「あの……今……対戦を……せめてマイクをオフに……」
「いいから、正座。アコちゃんの名前は言わないから、早く」
「はい……」
『お、お母さん……? な、なんで? 今日帰って来るって聞いてない……!?』
『言ってなかったからね。お父さんにも絶対言うなって釘を刺してたし……後はタレコミがあったからね。
それで娘? ああ、配信上の名前は天谷夢華か。夢華? これはなんだい? お母さん何も聞いてないんだけどなぁ』
『そ、そのぉ……後でちゃんと言おうと……』
『うんうん。言い訳は話しながら聞こうか。とりあえず正座』
『あの……対戦してて……マイクとかもオフにしたい……』
『ダメ。今正座』
『はい……』
これは後に────
「なんでこういうことしたの? ママ言ったよね? 好きに配信してもいいけど顔だけは出すような真似はしないでって再三言ったよね? なんで? 約束したよね?」
『別にお母さんだって娘のやる事を否定したいわけじゃない。そりゃ配信はやっちゃダメだと昔から言っていたけど、それでも夢華がどうしてもやりたいなら話ぐらいは聞いたさ。で、今回黙ってやった結果が顔出し対決? なにをどうすればこんな事になるんだい?』
「『あの……その……後に退けなくて……』」
「でも顔出しまで賭ける必要はないよね? ママ言ってる事なにか間違ってるかな? ネットで顔出したらそれを抹消する事は出来ないからやっちゃダメって最初に言ったよね?」
『インターネット上の揉め事で現実に支障を出しかねない事をする必要は無いとお母さんは思うよ。今の世の中、インターネットでの付き合いや出来事は大事とも言えるけど……それでもまずはリアルが第一だってお母さんは再三言ってきたと思うんだ』
「『はい……』」
「あの……天谷夢華さんのお母様? 聞こえてますか? 夜芽アコの母です。家の娘がご迷惑をおかけしました……」
『はい、聞こえてます。天谷夢華の母です。こちらこそ家の娘がご迷惑を……』
:気まずい
:聞いてるこっちの胃が痛い
:親に迷惑かけるなよ……
:もうめちゃくちゃだよ
:いいお母さんじゃねぇか
:マッマ達の声めちゃくちゃかわいい
:俺のかーちゃんと交換してくれ
:お前ら本当になにしとんねん
:せめて配信切ってやってくれ……
伝説の虫けら:はらいたいw
:全く同じタイミングで親フラは草
────伝説のW親フラ説教事件として後世のVtuber史で語られ、音声を切り抜いたMADまで作られる出来事としてネットのおもちゃになるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます