**05-05 胃痛が追加されました。**
1
……ーン、ピンポーン。
――うるさい。
……ピンポン、ピンポン、ピピピピピピンポーーーン!
――聞こえてるよ。
けたたましいチャイム音に千秋は薄目を開けた。チャイムを鳴らすだけじゃ飽き足らず、ドンドン! と、ドアまで叩いている。大声で千秋の名前を叫んでもいる。
ぼんやりとした頭で、陽太の犯行だと確信した。
すぐにでも玄関を開けて、
「ヒナ、近所迷惑だからやめろ!」
と、怒鳴りたいところだけど身体が言うことをきかない。
――無断欠勤、しちゃったかな。
昨夜、仕事を終えて帰ってくる途中から嫌な予感はしていた。
念のため、帰り道のコンビニでスポーツドリンクを買って床に転がしておいたのだけど。結局、ふたを開ける体力も残っていなかった。
横になって、次に目が覚めたときにはもう、だるくて、だるくて。起き上がることも、指一本、動かすこともできなくなっていた。
――今、何時だろう。
陽太が来ているということは定時間後。十八時は過ぎているのだろうか。
たっぷり寝たせいで、少しだけど体力も回復した……気がする。
ベッドからずり落ち、床を這うように移動して玄関へと向かって。でも、すぐにだるくなって。一休みして、また少し這って、休んで――。
そのあいだも、チャイム音は引っ切り無しに鳴り続けている。
――はいはい。今、出ますよ。
心の中で返事をしたところで聞こえるわけがない。
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