翌々々日――。


 定時を告げるチャイムのあと――以下略。


「千秋、仕事終わりそう?」


 陽太の大きな声に千秋は頷いた。

 周囲もすっかり無反応だ。みんな、適応能力が高い。


「ちょっとは仕事に慣れてきた?」


「まぁ、ぼちぼちかな」


 陽太はカバンを持って駆け寄ってきた。


「よし、じゃあ帰ろっか! 今日も俺の部屋に泊ってくだろ、千秋?」


 満面の笑顔でグッと親指を立てる陽太を見もせずに、


「わずか五日で俺の部屋を乗っ取るな」


 千秋は淡々と、常識という名のツッコミは入れた。

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