「大丈夫ですよ、俺のとなりで! しっかり教えますし、こいつと他のメンバーが仲良くなれるようにフォローします! 架け橋になります!」


 陽太はビシッと背筋を伸ばし、キリッとした顔つきで言った。

 大真面目な顔をしている陽太を、千秋は猜疑さいぎに満ちた目で見つめた。

 陽太がこういうイイ返事をするとき。本人はいたって真面目に、心の底から、本気で、返事をしているのだが――結果が伴わないことが多いのだ。

 と、いうか、絶対に伴わない。


 岡本もそのあたりをこれまでの経験で理解しているらしい。


「百瀬くんは小泉くんと幼なじみなんだよね? すごく仲が良いんだよね? 百瀬くん、小泉くんに話しかけすぎて、仕事の邪魔をしたりしない?」


 眉間にしわを寄せる岡本に対して、陽太は大きく頷いた。


「しないです! 業務の話以外、しないです!」


「まぁ、業務以外の話を全くするなとは言わないけど……。本当にしゃべるの、我慢できる? にぎやかにしない?」


「はい!」


 社会人相手とは思えない質問を大真面目にする岡本も岡本だが、大真面目に頷く陽太も陽太だ。

 岡本に隠れて、千秋は引きつった笑みを浮かべた。


 岡本は腕を組んでしばらく考え込んでいたが、


「僕も打ち合わせで席にいないことが多いし……うん、わかった。小泉くん、とりあえず百瀬くんのとなりに座ってくれるかな」


「は、はい!」


「やった!」


 千秋は急に話を振られて、慌てて岡本に向き直ると背筋を伸ばした。

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