第14話 まだ居られる

 あそこからの記憶はほとんど覚えていない。


 でも、

 苦しいのか

 悲しいのか

 悔しいのか


 全て混ざって、わからない感情で。


 泣きじゃくってアカネさんに慰めてもらったことだけは確か。


「もう夜が明けるわ。」


 まだこの世界にいた私はアカネさんにそう言われる。


「え?でもまだ2時間ぐらいしか…」


 、此処はあたり一面真っ白いのだから夜かわからないのか。

 来たときは確か夜だったけど、もう夜が明けるの?


「此処の世界は現実世界リアルより少し時間の流れが早いのよ。

 きっと彩葉ちゃんの家族が、心配しているわよ。」


「!…」


「電話番号は…、」


「そういえば教えてなかったわよね」


 アカネさんはそう言うと電話番号を教えてくれる。


「ありがとう、ございます」


「スマホで、この電話番号を入れてみて。それで掛けたら戻れるはずよ。」


「はい、」


 手をふるアカネさんを背に、


 私は電話番号を入れて


 フラッシュのような光とともに現実リアルに戻った。

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